【独占手記】楽天・岸が通算150勝 地元仙台で「感謝」の節目 ノーノー記念日に同じ相手「不思議な縁」

2023年05月03日 05:30

野球

【独占手記】楽天・岸が通算150勝 地元仙台で「感謝」の節目 ノーノー記念日に同じ相手「不思議な縁」
<楽・ロ>通算150勝を達成し、ボードを掲げる岸(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【パ・リーグ   楽天5ー1ロッテ ( 2023年5月2日    楽天モバイル )】 ノーヒッター記念日に地元の仙台で決めた。楽天の岸孝之投手(38)が2日、ロッテを相手に8回1失点で今季初勝利を挙げ、史上51人目の通算150勝に到達した。宮城県出身では初。昨季の最終登板から5度目の挑戦で、西武時代の14年にノーヒットノーランを達成した5月2日に節目の白星を挙げた。チーム最年長の38歳は本紙に独占手記を寄せ、西武時代の同僚でもあった石井一久監督(49)らへの感謝の気持ちを記した。
 多くの人たちの支えがあったからこそ通算150勝という節目に到達することができました。地元・仙台で達成できたことは本当にうれしかったです。改めて、家族や携わっていただいた指導者の方々、チームメート、応援してくださるファンの皆さん、本当にありがとうございます。

 プロ入り時はまさかここまで白星を積み重ねられるとは全く想像していませんでした。1勝だってできるかどうか。不安だらけで飛び込んだ憧れの世界。ケガも多かった自分がこの年齢まで投げられているわけですから、よくやってきたなと思います。

 プロ初登板初先発のことはよく覚えていますが、初勝利のことはなぜか記憶にありません(笑い)。最も印象深い勝利といえば、やはりノーヒットノーランを達成した14年5月2日のロッテ戦ですね。9年後の同じ日に同じ相手で150勝を達成できて不思議な縁を感じています。

 今こうして故郷・仙台に本拠地を置く球団でプレーできているのは、移籍時に球団副会長だった星野仙一さんのおかげです。移籍交渉の席で初めて面と向かって話をさせていただいたのですが、緊張しすぎて会話の内容はほぼ覚えていません(笑い)。記憶にあるのは「東北の星になれ」と「迷ったら前に進め」という言葉。シーズン中は接する機会がほぼなかったのですが、移籍1年目にロッカーで星野さんから「岸、見てる人は見てるぞ。頑張れ」と声をかけていただいたんです。そのシーズンはなかなか白星がつかずに苦しんでいました。短い言葉でしたが、どういう意味で言ってくださったのか。今となっては確認することはできませんが、忘れられない出来事の一つです。

 石井一久監督も僕にとって大きな存在です。今は監督と選手の関係ではありますが、いつも僕のことを「友達」と言ってくれます。普段は“カズさん”と呼ばせてもらっていますが、常に人生の道しるべになってくれる先輩でもあり、友人でもあります。「一意専心」という言葉を大事にしています。カズさんが引退する時にもらったユニホームに書いてあった言葉で、これからも真摯(しんし)に野球に向き合っていくつもりです。

 同学年でNPBで現役を続けている選手は巨人・長野、中日・谷元だけになってしまいました。3月のオープン戦で長野と話した時も「また減っちゃったね」という話になりました。同世代が引退するたびに寂しさを感じますし、年齢とともに一日でも長く投げたいという思いが強くなっています。ヤクルト・石川さんやソフトバンク・和田さんのように40歳を超えてもバリバリ投げていたいですし、後輩の良いお手本になりたいです。

 星野さんも石井監督も、ファンの皆さんもチームの優勝を何よりも望んでいると思います。僕も個人の成績より優勝したい。東北の皆さんに喜んでもらいたい。それが一番の恩返しになると信じて、これからも全力で腕を振っていきます。(東北楽天ゴールデンイーグルス投手)

 ≪9年前の5月2日にノーヒットノーラン≫岸は西武時代の14年5月2日に同じロッテ戦(当時QVCマリン)で史上78人目のノーヒットノーランを達成。許した走者は初回2死からの四球による1人だけの準完全試合だった。兄貴分で前年に現役を引退し、当時は本紙評論家だった石井監督も祝福し「引退後もサポートをしたいと思える後輩」と評した。

 ≪38歳4カ月での大台到達は年長4位タイ≫岸(楽)が2日ロッテ戦で今季初勝利を挙げ、通算150勝を達成した。プロ野球51人目。初勝利は西武時代の07年4月6日オリックス戦で記録。通算150勝の最年長到達は22年和田(ソ)の41歳7カ月だが、岸の38歳4カ月は83年高橋直樹(西)に並ぶ年長4位になった。なお、現役で150勝以上は、日米合計での達成者も含めると岸が7人目。

 ◇岸 孝之(きし・たかゆき)1984年(昭59)12月4日生まれ、宮城県出身の38歳。名取北から東北学院大に進み、4年時に35季ぶりの仙台六大学リーグ優勝に貢献。MVPも獲得した。06年大学・社会人ドラフト希望枠で西武入団。1年目から開幕ローテーション入りし、14年5月2日のロッテ戦でノーヒットノーラン。16年オフにFAで楽天移籍し、18年に最優秀防御率に輝いた。1メートル80、77キロ。右投げ右打ち。

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