シフト制限で「フライボール革命」の時代に終止符も 現場の打者はまだ飛球打つ意識が抜けず

2023年05月18日 12:33

野球

 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のジェイソン・スターク記者が興味深い指摘をしている。
 シフト制限によって、特に左打者の引っ張ったゴロやセンター返しのゴロが、以前(守備シフトが流行する前)のようにヒットになるケースが増えた。

 23年度の最初の544試合と、22年度の最初の544試合を比較すると、左打者の引っ張ったゴロはBABIP(本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合)が38ポイント上がって・176に、右打者も加えた全打者は22ポイント上がって・201になった。

 センター返しのゴロもBABIPが、左打者は25ポイント上がって・242に、全打者は12ポイント上がって・246になった。

 左打者の全てのゴロのBABIPは21ポイント上がって・228に、全打者は15ポイント上がって・243になっている。加えて強いゴロだとBABIPは著しく上昇している。左打者の時速90マイル以上の引っ張った打球は60ポイント上昇で・279、95マイル以上だと70ポイント上昇で・323である。

 いくら強い打球を打ってもシフトを敷かれるとゴロではアウトになる。だから打ち上げるしかないと「フライボール革命」が始まり、ゆえに本塁打が増える一方で打率は下がり、ヒット数も減少した。

 これで「フライボール革命」の時代に終止符が打たれるのだろう。しかしながらデータで見ると、打球角度はまだそんなに変わっていない。全打者の打球角度は22年の12・7度から23年は12・5度とほんのちょっと低くなっただけ。左打者も12・9度から12・4度だ。ゆえにヒット数も著しく増えたわけではない。ブルージェイズの左打者ブランドン・ベルトは「まだみんなフライを打ち上げる意識が抜けていない。過去5、6年そうやって打ってきたから」と説明する。

 選手の意識が変わり、コーチの教え方も変わり、チームの戦略も変わり、そもそもどういう打者を集めるかというチーム作りから変わらねばならない。それには時間がかかると、スターク記者は指摘している。

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