大した補強もなくチームOPS・686の21位から・854の1位へ レイズ躍進の理由とは

2023年05月20日 10:52

野球

大した補強もなくチームOPS・686の21位から・854の1位へ レイズ躍進の理由とは
レイズのジョシュア・ロー(AP) Photo By AP
 レイズは18日(日本時間19日)までチームOPS(出塁率+長打率)は・854で、2位のブレーブスの・802に大差をつけてトップ。87本塁打、266打点も1位だ。昨季はOPS・686の21位だったのに、大した補強もなく、ここまで数字を上げられたのはなぜなのか?スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者が分析している。
 ベテランのランディ・アロザレーナやヤンディ・ディアスらが好成績を残しているのはあるが、大きな変化は若手の成長。昨季は平均年齢27歳で、メジャーで5番目に若いチームゆえ、経験の少ない若手たちが数字を残せなかった。それがオフにしっかりアジャストしてきた。

 左打者のジョシュア・ロー(25)は16年のドラフト一巡。昨季は直球にてこずった。チャド・モットーラ打撃コーチはお尻がスライドするから直球が打てないとわかったが、シーズン中に対応するのは難しい。オフにコーチが家を訪れ、スイングをシンプルに、手の位置を低くし、最短距離でバットが出るようにした。スタンスも変え、リラックスして立てるようにしている。レイズはオフに左のスラッガーを探したが獲得できなかった。しかしローが打率・306、10本塁打と大活躍している。

 パワー自慢、イサク・パレデス(24)の問題は2ストライクカウントから打率・141(リーグ平均は・170)と特に打てなかったこと。そこでオフにコンタクト率を高める練習をし、メキシコのウィンターリーグにも出場した。おかげでWBCではメキシコ代表でOPS・944と活躍。今季は2ストライクカウントでの打率は・200で、トータルの打率も昨季の・205から・287に上げている。

 スイッチヒッターのテーラー・ウォールズ(26)は守備のユーティリティー選手と思われていたが、OPS・553から・904と著しく数字を上げた。昨オフ、ウォールズの代理人がプライベートで打撃コーチを雇ったが、モットーラ打撃コーチはそれに反対するどころか、むしろ奨励。「今の選手たちはオフにいろんなところに行くもの。我々もそれを奨励している。我々が全てを知っているわけではないし、新しい情報をアップデートできる」と言う。左打席では、打ちに行くときの上半身の角度をアジャストし、4シームにより対応できるようにした。右打席では下半身に焦点を当て、リラックスした構えで正しく腰を回転させられるようにした。これでうまく変化球をとらえられるようになった。「ウォールズは試合中にメカニックをいじらなくなった。今は自分のやっていることに自信を持っている」とコーチは指摘している。

 ルーカス・レイリー(28)もOPSが・584から・864に上昇した。打席で足や手を動かしすぎていたのを抑え、早くバットが出るように、最初から手の位置を後ろに下げ、その位置でじっとボールを待つ。これではパワーを失うかもと危惧されたが、既に8本塁打と問題なかった。

 レイズのエリク・ニーアンダー編成本部長は若手の成長に胸を張る。「大事なのは辛抱強くあること。いかに選手に自信を付けさせるかだ。我々はデータを利用するけど、野球は人間のやるゲーム。自信を付けさせることが優先事項」と説明する。「期待をかけすぎないことが大事だけど、同時に行動と言葉で、信頼しているよという気持ちも理解してもらう。うまく行き始めれば、成長するのも速い」とのこと。こうして数億ドルの補強なしで、メジャー最強打線ができあがった。

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