まるで韓国ドラマ!? 日本人投手が主役の「サクセスストーリー」は今週最終局面に

2024年07月02日 11:00

野球

まるで韓国ドラマ!? 日本人投手が主役の「サクセスストーリー」は今週最終局面に
白川を取り巻く相関図(ストライク・ゾーン作成。SSGランダーズ、トゥサンベアーズ写真提供) Photo By 提供写真
 【室井昌也 月に2回は韓情移入】
 あらすじ(ドラマ風)

 <独立リーグでプレーする若者が韓国のプロスカウトの目に留まり契約を締結。すぐに海を渡りマウンドに立つと先発投手として役割を果たしていく。純朴な人柄と周囲の人々のサポートにファンは魅かれ、注目度ナンバーワンの選手に。だが彼の立場は「代替外国人選手」。在籍には6週間の期限があった――>

 前回6月19日の本コラムで韓国KBOリーグの「代替外国人選手第1号」、SSGランダーズの白川恵翔(前四国IL・徳島、23)を紹介した。その白川の「ドラマのようなサクセスストーリー」に現地の野球ファンが熱視線を送っている。

 白川は5試合に先発登板し2勝2敗、防御率は5・09だが序盤に大量失点した1試合を除くと2・49。23回を投げて27個の三振を奪う姿にファンはハマっていった。

 白川にとって韓国は初めての海外。突然の移籍入団に戸惑いながら、チームに打ち解けていく様子がメディア記事や球団配信の動画などで拡散されたことも人気が高まるきっかけとなった。

 SSGには高卒後に日本に渡り、履正社学園の企業チームでプレーした投手、ハン・ドゥソル(27)が在籍。日本語を喋れるハンが愛情いっぱいに白川をグラウンド内外でサポートしていることも、大きな話題となっている。

 最近のKBOリーグでは観客席のファンが中継カメラの目を引くように、スケッチブックに選手への思いや今の心境、クスッと笑える手書きメッセージを書いて見せる「フリップ芸」がよく見られる。

 白川が先発登板した6月27日のSSG本拠地ゲームでは日本語で「けいちゃんなら勝てる!」や「緊張するな」、またハングルで「国際結婚して欲しい」といったフリップもあった。

 同日観戦した徳島球団の荒井健司オーナーは、頭に白川の写真と「がんばれ」と書かれた紙を貼りつけた男性ファンに記念撮影を求められたという。白川を取り巻く全ての人々が関心の対象となっている。

 白川のSSGとの契約期限は7月4日。別れの時が近づいていることもファンの感情を揺さぶっている。フリップには日本語で「行かないでください」、ハングルで「アイシテル シラカワ ドウカ モドッテクレ イツカワ」と思いを綴ったものもあった。

 SSGの現場、フロント首脳は頭を悩ませている。左内腹斜筋の故障で離脱していた左腕投手のロエニス・エリアス(35)が順調に回復。既定路線は白川との入れ替えだったが、若い白川が想像以上の働きを見せ簡単に手放せなくなった。

 だがSSGが白川を選択した場合、今季の新たな外国人獲得の権利を失う。それは白川に今季を託すことを意味する。エリアス残留であれば仮にエリアスの故障が再発しても、その時に再度「代替外国人制度」を使って穴埋めをすることが可能だ。

 この動きを他球団も注視している。その一つが李承(火ヘンに華)(イ・スンヨプ)監督率いる斗山(トゥサン)ベアーズだ。斗山はブランドン・ワデルが左肩甲下筋の筋損傷で登録を抹消。SSGが手放す白川かエリアスどちらかを、ブランドンに代わる外国人投手として検討している。

 白川の今後の行き先は「SSG残留」、「徳島復帰」、「KBO他球団への移籍」の3つだ。SSGは下した決断を一両日中に発表する。白川の前所属先の徳島球団はSSGの決断後の選択は「白川本人に任せる」としている。

 白川恵翔主演ドラマのシーズン1は、今週最終話を迎える。

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