伊東勤氏 日本ハム “若い”田宮 攻めのリード貫けるか 激しいCS争い力量問われる後半戦

2024年07月02日 06:00

野球

伊東勤氏  日本ハム “若い”田宮 攻めのリード貫けるか 激しいCS争い力量問われる後半戦
日本ハム・田宮 Photo By スポニチ
 5年ぶりに貯金9を記録するなど今季のパ・リーグを盛り上げてきた3位・日本ハムが、前日までに5連敗を喫し、ついに勝率5割となった。6勝14敗3分けと月間初の負け越しとなった6月を境に失速するのか、それとも月が変わるとともに再び盛り返すのか。旬の話題に鋭く斬り込む企画「マイ・オピニオン」ではスポニチ本紙評論家の伊東勤氏(61)がチーム状況を徹底分析。今後の展望を語った。
 5割でペナントレースを折り返した日本ハム。前半の戦いでは新庄監督の思い切った選手起用がチームに勢いをつけてきた。

 今、打線のキーマンになっているのが水谷だ。交流戦のMVP。私が西武監督時代の2005年。交流戦12本塁打でブレークし、レギュラーをつかみ取った中村剛也にダブる。デビュー当初は粗削りな部分が目立った水谷だが、試合を重ねるにつれて状況に応じたクレバーな打撃をするようになった。走者を置いているときには逆方向に打ったり、外野フライが欲しいときには確実に犠飛を狙う。長打が欲しいときには配球を読んで思い切って引っ張ったりもする。相手バッテリーにとってはやっかいな選手だ。後半戦は研究され苦労するだろうが乗り越えられるとみている。

 私が中日のコーチ時代に在籍していた郡司とマルティネスも打線の中軸を担っている。郡司は中日時代から打撃のいい選手だったが、正捕手に木下がいて守るところがなかった。どういう形で起用するのか注目していたが、今年はキャンプから挑戦した三塁を守らせている。打撃を生かすために慣れない守備には目をつぶる、これも新庄監督だからこそできることだ。マルティネスの勝負強い打撃は一級品。中日当時から一塁か外野にコンバートすれば、と思っていた。先入観やこだわりのない柔軟な選手起用がチームの選手層を厚くしている。

 捕手の田宮もそう。“捕手=守りの中心”は理想だが、短期的には難しい。“投高打低”の今年のプロ野球。打てる捕手として割り切って使う田宮が、前半戦チームをけん引した。

 ただ激しいCS争いが予想される後半戦は田宮の力量が問われる。前半戦、日本ハムバッテリーはストライクをどんどん取っていく攻めの投球が徹底されていた。負けが込んできたとき、大胆に攻めていたリードを貫けるかどうか。投手陣で直近で優勝争いの経験があるのはオリックスから移籍してきた山崎だけ。全体的に経験値の低いバッテリー陣の中で“ほぼ1年目”の田宮にかかる責任は重い。水谷も郡司も守備には一抹の不安がある。

 攻撃面でもバントや進塁打など1点にこだわる野球を徹底できるか。日本ハムにとって成長の糧にもなる試練の残り72試合になる。

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