井岡一翔が涙の世界王座返り咲き「必ず報われる」 判定3―0でフランコとの再戦に勝利

2023年06月24日 21:19

格闘技

井岡一翔が涙の世界王座返り咲き「必ず報われる」 判定3―0でフランコとの再戦に勝利
<WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ>7回、フランコ(右)を攻める井岡(撮影・藤山 由理) Photo By スポニチ
 WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが24日、大田区総合体育館で行われ、前WBO王者の井岡一翔(34=志成)がジョシュア・フランコ(27=米国)とのダイレクトリマッチに3―0の判定で勝利した。大麻成分検出騒動に揺れる中、自身3度目となった再戦を白星で飾り、昨年大みそかドローに終わったフランコと完全決着をつけることに成功した。判定は1人が115―113、2人が116―112だった。
 1ラウンドは様子見の展開となったが、2ラウンドは井岡が前に出てフランコが嫌がる場面も。井岡はしっかりとカードを固めながら、ボディー、アッパーを当てていった。5回には井岡のパンチでフランコの右目の上が切れた。

 フランコに対し、後ろに下がらずに打ち合った。上下の打ち分けを的確に行い、フランコの手数に対抗した。

 21日に日本ボクシングコミッション(JBC)が昨年の大みそか、フランコとのWBA&WBO王座統一戦時のドーピング検査で井岡の尿検体から大麻成分が検出されたことを発表。一方のフランコも騒動に影響されたからか、23日の前日計量では前代未聞の2・9キロ超過で王座を剥奪されていた。

 体重差はボクシングにおいて大きなハンデになる。思わぬ形で注目を浴びる一戦となったが井岡は雑音を打ち消し、覚悟を示すように序盤からパンチを繰り出した。「自分自身、ボクシングと真摯(しんし)に向きあってきた。そこに全くうそはなく、正々堂々と戦っている。必ず勝って正義が勝つことを証明しないといけない」。有言実行の勝利となった。

 常に強さを追求してきた。試合前恒例の米ラスベガス合宿では「何かを変えないとメリット、デメリットを感じない」とフィジカル・ストレングストレーニングを導入。これまで米国ではスパーリングを中心に行ってきたが、瞬発系のトレーニングを新たに取り入れたことで「質の高い練習ができた」と手応えを口にしていた。

 また、ここ数年は魚料理中心の食生活を送っていたが、今回の試合に向けて肉食を再開。「気持ちのエネルギーを力強く感じる。牛肉を食べることで闘争本能がみなぎるように感じる」と精神面での変化も明かしていた。

 この勝利で、かねて熱望するWBC王者のフアンフランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)戦実現に一歩近づいた。「まずはベルトを取らないといけない。彼とやるには王座統一戦が最低条件。自分がチャンピオンという立場になって彼にオファーして認めてもらわないといけない」。階級最強の絶対王者を振り向かせるには十分の内容だったに違いない。

 「負けたら引退とか、浅はかな気持ちではやっていない」とこれまで以上に進退を懸けて臨んだ一戦。これで日本人世界王者歴代最多を更新する21勝目となり、プロ戦績も30勝に到達。WBO王座を返上してまでこだわった再戦。相次いだ騒動の中、井岡が周囲を黙らせる快勝劇を見せた。

 ▼井岡 去年の大みそか、同じ場所、同じ対戦相手、みなさんが見た光景は、みなさんも覚えていると思いますが、僕が求めている結果じゃ、ありませんでした。でもあの日からあきらめずに、今日までいろんなことがありましたけど、いろんな方たちの支えのおかげで、今日またこうやってチャンピオンに返り咲くことができました。ありがとうございます。この瞬間を必ず見たかったですし、見せられるとみなさんにメッセージとして、未来の子供たちにこうして必ず報われる姿を見せたかったので。見せられて良かったです。自分を保てたのもみなさんのおかげです。フランコ選手、前回同様強かったです。拳交えて戦い抜いて満足しています。

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