俺が負けたら息子と娘は… 矢吹正道が“家族愛”で意地のTKO勝利「負けたら引退と思っていた」
2024年10月13日 05:00
格闘技
強豪という触れ込みの王者を圧倒した。序盤からジャブで差し勝ち、ワンツーや、いきなりの右で主導権を握った。王者得意の右オーバーハンドを完璧にブロック、左フックを空転させた。そして8回終盤にワンツーから最初のダウンを奪った。続く9回に連打で2度のダウンを加え、レフェリーストップを呼び込んだ。
家族の支えで復活した。22年3月に寺地拳四朗(BMB)との直接再戦でWBC王座を失い「ボクシングをやめようと思った」。試合直後でも、やけ酒をあおった。立ち直る力をくれたのは同じ競技に励む長女の夢月(ゆづき)さん(14)、長男の克羽(かつば)さん(11)だ。「子供が頑張っているのに俺のせいで…」。自分がグローブをつるせば子供も競技を離れるかもしれない。2人と一緒に体を動かすうちに前向きになり現役続行を決めた。再起後も苦難は続く。23年5月のスパーリング中に左アキレス腱を断裂。この引退危機も家族らの励ましで乗り越えた。
ライトフライ級で活動するのは今回が最後という。「世界チャンピオンのまま引退するのも目標の一つ」と引退に含みを持たせた上で、フライ級へ進出する方針を示した。「やるなら(WBO王者)オラスクアガ選手とやりたい。打ち合いになって試合は盛り上がる。この年なのでモチベーションが上がる相手じゃないと」。野望を語る表情は生き生きとしていた。 (原口 公博)
▼ノンシンガ 強い方が勝ったということ。矢吹はパワーがあるとは感じなかったが、パンチが見えなかった。いいタイミングでもらってしまった。
▽矢吹―ノンシンガVTR 矢吹が攻防両面で圧倒し、9回に勝負を決めた。1回から伸びのある左ジャブで有効打を重ね、中盤以降は右強打も効果的に当てた。ノンシンガの足が止まった8、9回に左右のコンビネーションの連打で畳みかけ、計3度のダウンを奪った。細かな前後のステップで被弾を避ける防御技術と距離感も光った。ノンシンガは消極的なまま、打開策がなかった。
◇矢吹 正道(やぶき・まさみち)本名・佐藤正道。1992年(平4)7月9日生まれ、三重県鈴鹿市出身の32歳。中3から本格的に競技を始めアマ戦績は16勝9KO5敗。16年3月にプロデビューし20年7月に日本ライトフライ級王座獲得(防衛1、返上)。21年9月に世界初挑戦で寺地拳四朗(BMB)に10回TKO勝ちしてWBC世界同級王座を獲得。翌22年3月の再戦で陥落。1メートル66の右ボクサーファイター。家族は妻と1男1女。弟の力石政法はスーパーフェザー級で東洋太平洋王座などを獲得。
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