「おむすび」金髪で現れた歩 目は口ほどに物を言う
2024年10月31日 08:15
芸能
高松は朝ドラ初出演。これまで子役として活動し、2021年公開の映画「哀愁しんでれら」や24年公開の映画「おいしい給食 Road to イカメシ」などに出演している。
「おむすび」の今週(第5週)分の演出を担当した松木健祐さんは高松の起用理由について「オーディションをして、書類選考、演技の一次選考、二次選考を経て高松さんに決定しました。子役の歩は、普通の中学生としての無邪気さ、友達を失う喪失感、ギャルとしての強さ、全てが求められる役でした。それらを、今の年齢の高松さんが持ち合わせていると感じ、みんなで決めました」と説明する。
少女期の歩のたたずまいは時間の経過とともに変化する。温かい家族や優しい親友の真紀と過ごし、明るく朗らかな歩。震災で家や親友を失い、悲しみに沈む歩。ショックから立ち直れず、うつろな表情の歩…。演じる高松に求められる芝居の幅は広かった。
松木さんは「日常の明るいシーンで高松さんに伝えたのは『真紀ちゃんを見た時の表情を大切に』ということです。真紀ちゃんとは、冗談を言って笑うわけではなく、目が合ったら自然に笑みがこぼれる感じ。高松さんはそれを忠実に表現くれました。震災後のシーンに関しては実はあまり高松さんと話をしていません。米田家の他の出演者と同様に、私たちが事前に作った資料(米田家の被害や避難の状況、その後の生活などを記したもの)を読んでもらいました」と明かす。
そして、歩が高校に初登校する際、前日に自ら染めた金髪で食卓に姿を見せるシーン。驚く家族らに「これで高校行く」と宣言し、髪を黒く染め直そうとする父・聖人(北村有起哉)の手を振りほどく。
松木さんは「高松さんに『これで自分は生きていくんだという決心、父や母から何を言われても絶対にやめないという強い覚悟で来てください』と伝えました。そうしたら、あのような強い目で演じてくれました」と語る。
少女期の歩のセリフは総じて多くない。その胸の内にあるものを示すのは表情、特に目だ。難度が高そうだが、高松のここまでの芝居は「目は口ほどに物を言う」ということわざを具現化したかのようだ。
松木さんはオーディション時の高松の印象について「目に吸いこまれるような魅力がありました。高松さんの目を見ていると、歩が自分の中に抱えているものが見えてくるような感じがしました」と振りかえる。
次週(第6週)も少女期の歩の新たな一面が描かれるという。引き続き、その目に注目したい。
◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。