【スプリンターズS】4連勝中ダイアナで福島師、悲願G1獲る
2017年09月29日 05:30
競馬
「そりゃあ、ここでG1を勝てたら一番いいけど、そんなに人生は甘くないですよ。北九州記念を勝ったぐらいで大きな顔はできませんね」
G1でも惜しいレースは何度もあった。厩舎の初期を支えたイクノディクタスでは93年の安田記念を14番人気、続く宝塚記念を8番人気で連続2着。「今までで一番惜しかったのはイクノディクタスの宝塚記念かな。一瞬やったかな!?と思ったけど、メジロマックイーンに差されたね」と振り返る。また、オールドファンの記憶にはミスタートウジンの名前も強く刻まれているだろう。ダートを主戦場に14歳まで現役を続行。「開業してすぐ、あの馬とイクノディクタスが活躍してくれたから、厩舎の名前も売れました」と感謝する。
開業から28年と7カ月、おそらくは今回がG1制覇のラストチャンスとなるだろう。力みはない。ただ、やるべきことをやった自負はある。「ここに来ての勢いは想像以上。体重が増えてパワーアップしているし、精神的にも落ち着きが出てきましたね」と愛馬の成長に目を細める。
百戦錬磨の福島師は最後に、当日のテンションをポイントに挙げた。かつての名馬との、ほろ苦い思い出ゆえである。「ダイアナは初めてのG1ですからね。イクノディクタスもG2やG3ではドシッと構えていたけど、G1になると恐る恐る歩いている感じがあったんです。G1はお客さんも多い。当時、ふと“イクノがオトコ馬だったらなぁ…”と考えたことが思い出されます」
イクノディクタスを苦しめたG1の壁を、ダイアナヘイローは越えられるのかどうか。70歳の指揮官は、満員のスタンドから温かく見守っている。