長岡 負のスパイラル脱却に新旧師匠との絆
2021年08月13日 05:30
競馬
徐々に勝ち鞍を増やすと5年目の16年には19勝。キャリアハイの数字を残した。しかしその翌17年4月、中山競馬で落馬。腎臓破裂の大ケガを負い、長期の休養を余儀なくされた。
「復帰までに5カ月近い月日を要しました」
9月に戦列に戻ったが、騎乗数は激減。“乗れないから勝てない”“勝てないから乗れない”の負のスパイラルへと陥った。
そこで翌18年6月には「思い切って環境を変えてみようと栗東へ」行った。さらに約1年後には正式に籍を栗東へ移した。
「小島先生は快く送り出してくださいました」
その栗東では小島厩舎のスタッフに杉山晴紀調教師を紹介してもらい、同厩舎の調教を手伝うようになった。すると…。
「杉山先生は競馬にも乗せてくださいました」
こうして昨年、同厩舎の馬とのコンビで長岡騎手自身初となるG1騎乗(フェブラリーS)を果たすと、夏にはアールスターに騎乗して小倉記念(G3)に挑むことになった。当時、杉山晴師は言っていた。
「人情で乗せているわけではありません。彼はアールスターの調教にもいつも乗ってくれて、この馬のことを最も分かっているから依頼したまでです」
長岡騎手は見事にこの期待に応えて自身初の重賞制覇を果たした。ちなみにこの時2頭の管理馬を送り込んでいたのが小島師だった。かつての師匠は言う。
「うちの2頭が勝てない(3、8着)と思った次の瞬間、実況が“長岡!!”と言ったので“え!?”と思って先頭を見ました。長岡が抜け出していたので、すぐにご両親と杉山先生にメールで祝福をしました」
アールスター&長岡騎手のタッグは今週末、小倉記念連覇を目指す。今年は出走馬のいない小島師だが、きっと注目していることだろう。(ターフライター)