【有馬記念】エフフォーリア 絶好調はいらない!3頭併せで闘魂注入ラスト11秒4
2021年12月23日 05:30
競馬
3歳馬の盾獲りは祖父シンボリクリスエス(02年)に続く快挙。サラブレッドは血で走るというが、その名馬の血を受け継いだ孫は体形まで隔世遺伝している。Wコースでの最終追い切り。祖父そっくりの長い背中に沿って走るトップラインの筋肉群(腰、尻)を激しく収縮させながら直線入り口でトップギアに入った。先行2頭の間を造作もなく割る。一瞬にして突き抜けた。内マイネルミュトス(5歳3勝クラス)に4馬身、外の半弟ヴァンガーズハート(新馬)に1馬身先着。ゴール前で仕掛けてラスト1F11秒4の瞬発力だ。馬なりで11秒3の天皇賞・秋時には及ばないが、超一流馬ならではの走り。普通の体調以上のコンディションにあるのは間違いない。
見届けた鹿戸師も「3頭併せの真ん中に入れて、少しファイトさせた(闘争心をかき立てた)。いい動きだった」と語った上で、こう続けた。「放牧から元気に戻ってきて週2本ずつ追い切りをきっちり重ねてきた。全て順調。体つきも申し分ない。凄くいい状態だった天皇賞に近づけたと思う」。
祖父シンボリクリスエス同様、春には物足りなく映った腰の筋肉量も見違えるほど増えた。祖父の描いた成長曲線をそのままなぞる3歳秋の進化。シンボリクリスエスを育てた藤沢和師の弟子として同馬の調教にも携わった鹿戸師は孫の長所をこう語る。「一瞬で抜け出して勝負をつける加速力と、抜け出してからも遊ばない真面目な気性」。有馬記念で瞬時に抜け出しても遊ばずに9馬身差をつけた祖父の性能と気性まで隔世遺伝している。
グレード制導入の84年以降、天皇賞・秋と有馬記念を制した3歳馬はシンボリクリスエスだけ。祖父の偉業を引き継ぐ超一流馬に絶好調はいらない。
《23歳のバースデー!次は勝って祝福だ》横山武は追い切りが行われた22日、23歳のバースデーを迎えた。「おめでとう」と厩舎スタッフや報道陣に祝福され「ファン投票で1位選出された期待を背負って乗りたい。プレッシャーをバネに変えて頑張りたい」と決意を語った。「エフフォーリアは別次元の馬。2500メートルに延びてもスタミナに不安はない。トリッキーなコースなので折り合いが鍵になるが、能力に疑う余地はない」と手応えをつかんでいた。