【追憶の根岸S】10年グロリアスノア 矢作師“人育て”の始点 11番人気馬で所属騎手の恩返し

2024年01月24日 06:45

競馬

【追憶の根岸S】10年グロリアスノア 矢作師“人育て”の始点 11番人気馬で所属騎手の恩返し
<第24回根岸S・GⅢ>中団から直線鋭く伸びて重賞初制覇を飾るグロリアスノア(牡4=中央)。鞍上の小林慎一郎騎手はデビュー11年目で重賞初制覇 Photo By スポニチ
 矢作芳人師といえば、今や日本指折りの伯楽だが、馬だけでなく“人を育てる”ことでも知られる。
 G1騎手となった坂井瑠星。昨年は“大井留学”も経験して着々と力をつけている古川奈穂。パンサラッサが世界の舞台を制した時も欧米や現地の名手でなく、その背には吉田豊がいたことも大きな意味があった。

 そんな矢作師の“人育て”のファースト・ケースと思えたのが、10年の根岸Sだった。勝ったのは矢作厩舎のグロリアスノア。鞍上は当時28歳、所属騎手の小林慎一郎(引退)だった。

 小林慎騎手は元々、中尾謙太郎厩舎からデビューしたが、減量が取れ、厩舎が解散すると次第に成績を落としていった。04年には白星ゼロの危機に陥り、騎手をやめることも考えた。

 そこに手を差し伸べたのが調教師免許を手にしたばかりの矢作師だった。厩舎開業と同時に所属に。騎乗チャンスはみるみる増えた。

 そこに現れたのがグロリアスノアだ。新馬戦(1着)からまたがり、全7戦中6戦に騎乗し、迎えたのが、この根岸Sだった。

 前走でオープン(エニフS)を勝っているのに16頭中11番人気。しかし、レースぶりは上位人気馬のようだった。

 エニフS同様、9番手からの追走。3角手前で外を行く複数の馬が上がっても動かなかった。「位置取りは予定通り。馬の能力を信じていた」(小林慎)

 しっかりと脚をためて直線を向く。ゴーサインに馬は応えた。残り100メートルで先頭に立って人気馬たちをねじ伏せた。

 「本当にうまく乗ってくれた。あいつ(小林慎)で勝てたことが本当にうれしい」と矢作師。その目は赤く染まっていた。

おすすめテーマ

2024年01月24日のニュース

特集

ギャンブルのランキング

【楽天】オススメアイテム