世界平和の夢果てしなく…カンボジアで構築する“本田モデル”に大いなる期待

2018年10月07日 10:02

サッカー

世界平和の夢果てしなく…カンボジアで構築する“本田モデル”に大いなる期待
9月にシェムリアップ市内でサッカー支援プロジェクトを行ったソルティーロ・アンコールFCの選手たち Photo By 提供写真
 集大成のW杯ロシア大会が終わってもサッカー元日本代表MF本田圭佑(32=メルボルンV)の夢は尽きない。日本代表のオーバーエージ枠として東京五輪出場を目指し、実質的なカンボジア代表監督として指導者のキャリアもスタート。国際派ビジネスパーソンとしても多角的な事業を推し進める。そんな奇想天外の発想をひも解くヒントがカンボジアにある。
 今年9月11日。“本田監督”が同国代表の初采配を振るった翌日のこと。首都プノンペンから300キロほど離れたシェムリアップ市内の小学校には、本田がオーナーを務める同国1部ソルティーロ・アンコールFCの選手たちの姿があった。

 日本人3人含む全選手が社会貢献も含めた活動に専念するためにプロ契約を締結。子どもたちの憧れの存在としてサッカー教室でボールを蹴り、日本で回収された約340キロのサッカー用品を寄贈した。「社会貢献しながらプロとして生きられるなんて素晴らしいことです」とイレブンは口をそろえる。用品寄付の支援活動には三井不動産など日系企業や京都外大のインターン生も協力。ソルティーロ株式会社の海外事業部を統括する池田佳史部長は「子どもたちにチャンスを与えられる」と汗を拭った。

 「世界平和をずっと夢見ている」――。果てしない野望を持つ本田のアプローチは、やはり「サッカー」というツールが不可欠だった。15年11月に日本代表の選手として現地を訪れ、貧困という現実を肌で感じながら、沸騰するサッカー人気に感銘を受けた。それをきっかけにプノンペンでサッカー教室を開校。16年12月には、ソルティーロ・アンコールFCの運営にも参画する流れになった。

 オーナーの本田や現地の日本人スタッフが目指すのは「地産地消」。寄付や支援に頼らず、自分たちで自立できる仕組みの構築を意味するという。現地小学校などでの草の根の活動が貧しい子どもたちにも夢を与え、サッカー教室を開催して子どもたちや指導者の底上げを図る。その先にプロクラブ、そして代表チームへとつながるレールを本田は一気に敷いた。その代表チームが強ければ強いほど、貧困層への訴求力アップやサポートにもつながる。だから知名度抜群の本田は現役を続けながらナショナル・チームの強化を買って出た、と読み解ける。

 もちろん困難も伴う。課題は発展途上国でのプロ興行の確立。1部昇格を果たした今季のソルティーロ・アンコールFCの平均観客数は約1500人まで増えたが、試合の入場料はリーグの取り決めで1人1ドル(約113円)が上限という。今季からユニホームなどの物販も始めたが、余剰品を買う余裕のあるファンは少ない。この問題をどう解決できるかが、カンボジア・サッカー界の今後の行方を左右する。同クラブの松田裕貴監督も「ASEAN全体が注目している」と話し、カンボジアで構築する“本田モデル”の循環に期待がかかる。

 クラブオーナーの枠を超えて一国を率いる指導者となった本田が描く壮大な青写真。カンボジアでの大事業は、「世界平和」を目指す男の試金石となる。(大和 弘明)

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