イニエスタ万感 大観衆のホームで神戸にお別れ「“また会いましょう”私は日本が好きだし戻ってきます」

2023年07月02日 05:10

サッカー

イニエスタ万感 大観衆のホームで神戸にお別れ「“また会いましょう”私は日本が好きだし戻ってきます」
<神戸・札幌>スタンドにサポーターがつくった自らの姿が浮かびかがる中入場するイニエスタ(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 【明治安田生命J1リーグ第19節   神戸1ー1札幌 ( 2023年7月1日    ノエスタ )】 神戸の“偉大なる背番号8”が最後の勇姿を見せた。明治安田生命J1リーグは1日、各地で7試合が行われ、今夏で神戸を退団する元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)がラストマッチの札幌戦で今季初めて先発出場し、後半12分までプレー。この日はノエスタに過去最多の観衆2万7630人が押し寄せた。試合は1―1で引き分けた。
 涙をこらえきれない。試合後セレモニーで選手とスタッフが並ぶ花道を歩き、ピッチ中央に立つイニエスタの目は真っ赤だ。18年夏の加入から濃密な5年間を支えてくれた神戸サポーターへの深い感謝で胸を熱くした。
 「大切な思い出として持ち帰るのは(加入)1日目から示してくれた愛情とリスペクト。自分の家から遠く離れたところにいるのに“我が家にいるような感覚”は味わえない。それを味わえた」
 ラストマッチでは、昨年8月6日のC大阪戦以来のリーグ戦スタメン。主将マークを巻いてトップ下に位置した。前半35分はFKを味方に合わせ、その1分後には左サイドからドリブルで進入してシュートを狙った。「人生でもスポーツでもスーパーヒーローはいない。もっと良いパフォーマンスができたと思うが、最大限の貢献をしようと全てを出し尽くした。ここまでやってきたことに誇りと達成感がある」。後半12分に万雷の拍手を浴びてベンチに退くまで勝利だけを追い求めた。

 神戸加入から1865日。温厚な性格だが残留争いに巻き込まれた22年のある試合後には、一体感を感じられないロッカールームに怒りを表した。「通過地点として日本に来たわけじゃない。家族として住みに来た。皆を近くに感じたかったし、感じてほしかった」。日本人のようにチームの「和」を大切にする。心の底から神戸と日本を愛し、愛された。

 キャプテンマークを山口に引き継ぎ、ピッチサイドで深々と一礼した上で慣れ親しんだノエスタのピッチを離れた。退団セレモニー後にゴール裏スタンドでサポーターの輪に入って抱擁。サポーターが歌う「神戸賛歌」に聞き入り、同僚による胴上げでは背番号と同じ8回、宙に舞った。

 「きょうはお別れを言う日だが“さようなら”という言葉は好きじゃない。“また会いましょう”。私は日本が好きだし、戻ってきます。アリガトウゴザイマシタ、ミナサン」

 チーム方針の変更により出場機会が激減し新天地を求めた。それでもクラブ初タイトルとなる天皇杯優勝をはじめ数々の功績は色あせない。J1通算114試合出場21得点22アシスト。数字以上のインパクトを残し、背番号8が別れを告げた。(飯間 健)

 ◇アンドレス・イニエスタ 1984年5月11日生まれ、スペイン・フエンテアルビージャ出身の39歳。12歳でバルセロナの育成組織入りし、02年にトップチームデビュー。バルセロナで獲得したタイトルは32個。18年夏に神戸へ加入、19年度の天皇杯を制しクラブ初タイトルに貢献した。スペイン1部リーグ通算442試合35得点。J1通算114試合21得点。スペイン代表では06年に初出場、国際Aマッチ131試合出場13得点。08年、12年欧州選手権、10年W杯で優勝。1メートル71、68キロ。利き足は右。

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