【横浜・宮市―角田対談<下>】角田にとって宮市は「人間の鏡」宮市「なんや、このやりづらい感じ(笑)」
2023年12月30日 14:40
サッカー
角田「(宮市が決勝弾を決め、4―3で逆転勝利した6月10日の)ホームのレイソル戦じゃないですか?」
――その理由は?
角田「自分がまだケガをしていて上から試合を見ていましたけど、あの試合をひっくり返したのは強さ。ここ数年マリノスがずっと強くて、ずっと圧倒するサッカーをしてきた。今年は開幕からずっと苦しかった。なんとか勝っている状況。去年の方が逆転勝利があんまりなくて、圧倒して勝ってきた感じだった。自分が上で見ていて、敗色濃厚ムードだった。レイソルに思うようにやられた試合だった。あそこからひっくり返したのはチームとしての厚みが出た試合だった。スタジアムが揺れましたからね。泣きましたもん」
宮市「涙もろい角田くん(笑い)でも、本当に(10月15日のルヴァン杯準決勝)浦和戦でツノがケガをして、(上島)拓巳もケガして、ルヴァン杯敗退ってなってその後にチームでミーティングをした。ここから絶対に負けないってみんなで意思統一した。大きなケガ人がたくさんいるので、そういった気持ちも背負っていこうと意思統一した。そこもターニングポイント。キー坊(喜田主将)がミーティングをして、みんなで意思統一してここから負けられないよねと。僕が印象的だったのが、残りの試合絶対勝てると。今までもそうしてきたと。そうだよなって。5連勝、6連勝してきたよなって。そこに歴史が積み上がってきているんだなと言葉の重みを感じた。それを経験してきている選手がこのチームは多いし、俺らできるんだなっていう気持ちにさせられた。他の選手もエドゥアルドとかロペスとか水沼選手とかいろんな選手が発言した。ブラジル人選手も含めて意思統一して優勝に向かっていこうと意思統一できた。ツノのケガとか目を覆いたくなるようなケガで、今季終わってしまうんじゃないかって予想したと思うけど、戻ってきてあのパフォーマンスをしてくれるっていうのは凄く勇気づけられた。凄いなと思いました。あれだけの手術を乗り越えて、恐れずに何としてもチームの力になりたいっていう気持ちが胸を打たれた。未来は明るいなと思った。マリノスだけじゃなく、日本を背負っていく選手になると思うので。よく戻ってきたなと思います」
――角田選手は試合復帰した11月12日のC大阪戦後、自身のインスタグラムの投稿でクラブOBの故・松田直樹さん(享年34)のフラッグをバックにプレーする写真を投稿していた。
角田「気づきました?あれ、気づく人がいるかなと思ってやってみたんですけど(笑い)日産スタジアムの左奥の方に松田直樹さんの旗がある。自分のポジション的に旗と一緒に映ることが多くて、高校(前橋育英)の時からその旗があったんですよ。その写真を結構持っていて、育英だったら黄色であるんですよ」
宮市「それは熱いね」
――それは好きな写真だから?
角田「重ねていることはないんですけど、偉大な先輩であの試合は特別な思いを抱えて入りましたし、完封勝利できたのは自分の中で意味の違ったゲームになった」
――松田さんに影響を受けている部分は?
角田「あまりプレーを見たことがないし、もちろん会ったこともない。高校の時から監督から話を聞いていたし、偶然マリノスに入って、偉大さをひしひしと感じている。もちろん尊敬している。自分とはまた別のプレーヤーなので、参考にしているということは特にないですけど、前橋育英からマリノスに入った身として恥ずかしくないプレーはしなきゃいけないと感じています」
――松田さんの現役時代の背番号が3番。背番号を33番にしたのは意識はあった?
角田「あんまりなんですよね。高校の時からずっと3番だったのでシンプルに3番が好きだった。もちろん意識していないことはないけど、3番が好きで縁起のいい番号を重ねたということだった」
――角田選手は昨オフに移籍も考えたと言っていたが、マリノスで勝負すると決めて残ってよかった?
角田「たらればですし、移籍していたらまた違ったサッカー人生でどうなっていたかわからないけど、一番はこのチームで活躍したいという思いだった。亮君と同じタイミングでマリノスに入ってきて、こんなにマリノスのことを好きになるとは思わなかった。あの時の自分はよくやったと思う。出場機会は大事だと思っていたし、去年も総力戦というところでチャンスをもらえて、このチームでやってきていることは間違いなかったので、それをちゃんと試合で出すことができた。なんとかつかみとった感じでしたね」
――同じタイミングでマリノスに入ってきて2人の日頃の接点は?
角田「自分が入った時は大学生で亮君がケガ続きで一緒に練習することが多かった」
宮市「入った時はまだ大学生?2年前。マジか。去年がプロ1年目か。よくベンチ外メンバーで一緒に練習したもんな」
角田「亮君はその頃からポジティブでそれに救われていた」
宮市「初めて練習したときからこいつ凄いなって思っていました。身体能力が半端なかったので、これは何年かしたら凄い選手になるだろうなと。僕は海外にいて初めての日本でしたけど、それは凄く感じた。あの時から凄い真面目だし、ベンチ外の練習でもしっかりやっている。こういうのがいつか報われると思っていた。彼が今年代表に選ばれたときは凄いうれしかったし、これからも絡んでいくと思う。ポテンシャルは半端ないし、2年前と比べてピッチにいるときに1対1の局面になったらツノだったら大丈夫だろうなって。マリノスで一緒にやっている選手はずっと思っている。特に今季はそれが強い思いになっている。本当に無駄なことはないなって。苦しい時にどれだけ踏ん張って頑張れるかっていうのは、もしかしたらその年には報われないかもしれないけど何年か先に報われる瞬間がくるのはツノを見て思いましたね」
角田「言い過ぎですよ(笑い)」
宮市「いやいや(笑い)」
――角田選手は学生の時に宮市選手はどういう認識だった?
宮市「正直、知りませんでしたって?(笑い)」
角田「高卒でアーセナルに行って。あまり海外のサッカーは見ていなかったけど、自分も高校サッカーにいたし、本当に雲の上の存在。ただ海外にいると思っていた選手がマリノスに来るんだと思って今こうやって一緒にプレーできているのはよく考えたら考えられない。今サッカーを見ている子供たちもそういう瞬間がくると考えたら夢があるなと。一緒のチームになってよかったなと思います」
――最初から話しやすかった?
角田「本当に人間の鏡というか」
宮市「なんや、このやりづらい感じは(笑い)」
角田「亮君を見ていたら悪いことできないですよ。亮君を見ていて腐る人なんて見たことないですよ。というくらいなんでこんなにできているんだろうと。このチームは本当にできている選手が多いんですよ」
宮市「マジ、そうだよな。ベテランと言われる水沼選手や実藤選手、飯倉選手が凄く明るいし、どんな状況でも手を抜かない。そういう姿勢は下にも浸透していくなと思う。今後もそういうチームであり続けて欲しいなと思う」
――2人で食事に行くことは?
宮市「本当にたまにやね」
角田「最初は結構行ってましたね」
――入りたてくらいの時?
角田「引っ越したりなんだかんだで少なくなりましたけど、全然話しかけてくれるし、ロッカーも近いので。関係が悪くなったりもないですね(笑い)」
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