林陵平氏 アンカー藤田は遠藤航の後継者になれる存在

2024年05月01日 04:40

サッカー

林陵平氏 アンカー藤田は遠藤航の後継者になれる存在
<日本・イラク>2アシストを記録した藤田主将(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【サッカーパリ五輪予選兼U―23アジア杯カタール大会準決勝   日本2―0イラク ( 2024年4月29日    ドーハ )】 【林陵平の目】大岩監督が採用する4―3―3システムの構造上、アンカーは攻守において抜群の存在感を見せられるかが重要だ。攻撃ではセンターバックからボールを引き出し、ビルドアップの出口になって、そこから前線へとボールを配給する。その能力に秀でた藤田は今大会、高いプレー精度と抜群のセンスでタスクを見事にこなした。
 中でも目を引いたのが卓越したプレービジョン。ピッチ全体を俯瞰(ふかん)して見られることで、1手、2手先を読んだパスが出せる。しかもパスには「次にこういうプレーを期待している!」といったメッセージが込められており、受け手が凄くイメージしやすい。イラク戦の2アシストはそんな彼の特長が凝縮されていた。

 4―3―3のチームに対し、アンカーをつぶしにいく戦術は世界ではいわば定石。今大会で藤田が徹底マークされた試合はなかったが、イラク戦で各選手に疲れが見えた終盤に位置を意図的に左サイドに下げ、サイドバックを押し上げチーム全体に時間をつくるなどサッカーIQの高さも見せた。本大会に向けては、チームとしてどれだけ戦術的な引き出しを増やせるかが重要。攻撃的な3バックなどもオプションとして加われば面白いと思う。

 日本でアンカーができる選手は少なく、希少価値は高い。藤田は海外移籍でたくましくなったが、まだまだ伸びしろがある成長株。球際や判断の部分もさらに向上すれば、A代表で遠藤航の後継者にもなれる存在だ。本大会でも活躍を期待したい。(元東大ア式蹴球部監督)

 ◇林 陵平(はやし・りょうへい)1986年(昭61)9月8日生まれ、東京都八王子市出身の37歳。東京Vの下部組織出身で、明大を経て09年にトップ昇格。10年に柏へ移籍し、同年にJ2優勝、翌年にJ1制覇を経験。その後は山形、水戸、町田、群馬など主にJ2でプレーし、20年に現役引退。引退後は指導者と解説業をこなし、21~23年、東大ア式蹴球部(サッカー部)の監督を務めた。今年S級コーチ養成講習会を受講。自身の著書「林陵平のサッカー観戦術 試合がぐっと面白くなる極意」(平凡社)が絶賛発売中。1メートル86、80キロ。利き足は左。

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