ゲンキのたからばこ第10回「命(いのち)とは何か」

2024年03月14日 09:05

社会

ゲンキのたからばこ第10回「命(いのち)とは何か」
実物大の赤ちゃんの人形 Photo By スポニチ
 大阪府泉大津市教育委員会とスポーツニッポン新聞社の共同企画連載「ゲンキのたからばこ」は昨年7月にスタートしました。泉大津市内の小学校では「保健」「食育」の授業の中で、生活習慣や食生活、性教育なども指導しています。それらの内容を、YouTube動画などを活用して、分かりやすく説明していきます。第10回は「(命)いのちとは何か」です。 【YouTube 第10回「命(いのち)とはなにか?」
 こんにちは。穴師小学校で保健の先生をしている橋田です。

 みなさん、「命(いのち)」とはなにか 考えたことはありますか?

 第9回で「命(いのち)の安全教育」の話をしましたが、あらためて「命(いのち)」とは? と聞かれると、先生も答えに困ります…。

 いろいろと調べる中で、聖路加国際病院の名誉院長だった故・日野原重明(ひのはら しげあき)先生が生前に、命(いのち)は「私たちが持っている時間、私たちに与えられた時間」と話されている動画を見ました。なるほど!と思ったので、ここで紹介しました。

 では、私たちの持っている時間はいつ始まるのでしょうか?

 穴師小学校で4年生に行っている「命(いのち)の授業」の一部を紹介したいと思います。命(いのち)の大切さが、少しでも子どもたちに伝わればいいなと思って授業を行っています。

 お母さんのおなかの中いる赤ちゃんの大きさを、みなさんは知っていますか?

 2か月の赤ちゃんの大きさは2センチくらいで、体重は4グラムほどです。まだ、魚のような形をしています。赤ちゃんがお母さんのおなかの中で育つ袋のようなものを「子宮(しきゅう)」と言います。

 3か月の赤ちゃんは、大きさが10センチくらいで、体重が30グラムくらいです。超音波の検査で心臓が動いているのがわかります。このころに手足の形ができてお魚のような形から人のかたちに変わってきます。

 4か月になると赤ちゃんの大きさは15センチくらいで、体重は100グラムくらいになります。手足を動かしている様子が超音波検査で確認することができます。

 では、6か月の赤ちゃんはどれくらいの大きさになると思いますか。大きさは30センチくらいで体重は600グラムくらいです。このころになると、つめやかみの毛もはえてきます。おなかの中で赤ちゃんが動いているのを感じることができます。

 ここで皆さんに質問です。赤ちゃんはおなかの中でどのくらいの期間を過ごすと思いますか?

 正解は280日です。約10か月です。

 では、おなかの中の赤ちゃんはどうやって栄養を取って成長しているのでしょうか?

 それは、お母さんからへその緒を通して栄養や酸素を受け取っています。いらなくなったものはへその緒から胎盤を通って女の人の体へと戻っていきます。

 280日がたった赤ちゃんの大きさは50センチくらい、体重は3000グラムくらいです。もう、いつ生まれてもいい状態です。ですが、全員がぴったりその時期に、そのサイズで生まれてくるわけではなく、赤ちゃんによっては280日よりも早く生まれたりします。身長や体重も赤ちゃんによって異なります。

 そして不思議なことは、おなかの中にいたときの記憶がある人もいます。私の子どもは3歳の時に「お水の中でぷかぷか浮いていた。狭かった」と話をしてくれたことがありました。

 私たちの命(いのち)、私たちが持っている時間はおなかの中からスタートしているのかもしれませんね。

 授業の中で、子どもたちに今ある状況は当たり前ではないと伝えています。私の身近なところで、赤ちゃんが生まれるのをとても楽しみにしていたけれど、生まれてすぐに赤ちゃんが亡くなったり、おなかの中で亡くなってしまった人がいることも話しています。

 亡くなった赤ちゃんもみんなと同じように外の世界に出て、勉強したり、遊んだりしたかったかもしれません。そんな子たちが他にもきっといることを話して、みんなは今できていることを大切にしてほしい、そして当たり前だと思わずに過ごしてほしいと伝えています。

 そして、自分の命(いのち)を大切にしてほしい。自分の命(いのち)と同じように周りの人の命(いのち)も大切にしてほしいと話しています。

 今年度、この授業を受けた4年生は「私たちが生きているのは奇跡なんだということがわかりました」、「自分のいのちを大切にしようと思いました」、「周りの人の命も大切にしないといけないということがわかりました」と感想を書いてくれました。

 「ゲンキのたからばこ」ではいろいろな話をしてきました。大きくなったときに、「そういえば保健の先生がこんな話をしていたな」、「だから健康に気をつけて生活しよう」と思い出してくれたらいいなと思って、私は授業を行っています。

 「ゲンキのたからばこ」の中で、何かに気づくきっかけになってくれたらうれしいと思っています。

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