ブラックボックスのまま…政治資金規正法 改正自民案が衆院通過 野党は批判「穴開きまくり」

2024年06月07日 05:30

社会

 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、自民党が3度修正した改正案が6日の衆院本会議で可決され、衆院を通過した。自民と公明党、日本維新の会などが賛成した。立憲民主党などが訴えた企業・団体献金禁止は含まず、不透明な政治資金で“ブラックボックス”と批判される政策活動費も温存されることになった。
 自民案は事件の再発防止策で、いわゆる「連座制」として政治資金収支報告書の「確認書」交付を国会議員に義務付け。要件により公民権停止となる。政治資金透明化策では、パーティー券購入者名の公開基準を現行「20万円超」から「5万円超」へ引き下げ。使途報告がない政策活動費に支出の項目別金額と「年月」を報告させるとした。

 これに対し野党は一斉に批判。立民の泉健太代表は「付則」として「政策活動費の年間上限額を決め、10年後に領収書を公開することを検討」「政策活動費の使途を監査する第三者機関設置を検討」など“検討のオンパレード”であることに「やっているふりでうやむやになる可能性がある」と語気を強めた。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は「ザル法のままだ。ザルに申し訳ない。ザルの方がもっと物がすくえる。穴が開きまくっている」と皮肉を交え痛烈に批判。議場で自民議員から笑い声が漏れていたとも明かし「政治への信頼を揺るがすこれだけの問題を起こしておきながら、全く反省がない」と訴えた。

 岸田文雄首相は官邸で記者団に、野党の批判について「公明党、日本維新の会と真摯(しんし)な検討を行い、案を作り上げた。実効性がないという指摘は全く当たらない」と述べた。

 今回の法改正の“原点”もあきれかえった。派閥の政治団体の政治資金パーティー収入の不記載を2022年に報じた「しんぶん赤旗」の三浦誠社会部長はSNSに「政策活動費合法化案、企業・団体献金温存法案、政治資金パーティーし放題法案、書いてて嫌になってきた」と投稿。ネットでは「岸田首相が今夏の内閣改造を検討」と報じられたことに「内閣改造より裏金体質改造を」との要求も。改正案は7日、参院政治改革特別委員会で審議入り。23日の国会会期末までの成立は確実な情勢だ。

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