2000億円かけるも大腸菌が…セーヌ川でのトライアスロン 体調不良者続出 メダル候補ベルギーが棄権 

2024年08月06日 05:30

社会

2000億円かけるも大腸菌が…セーヌ川でのトライアスロン 体調不良者続出 メダル候補ベルギーが棄権 
トライアスロンでセーヌ川を泳いだ選手に体調不良者が出ている Photo By スポニチ
 セーヌ川の水質が疑問視される中、5日に行われたパリ五輪トライアスロンの最終種目・混合リレーを、ベルギーが選手の体調不良を理由に棄権した。ベルギーは昨年8月の五輪テスト大会で3位で、メダル候補だった。
 ベルギーの国内オリンピック委員会は4日、先月31日のトライアスロン女子に出場したクレア・ミシェルが体調を崩したため棄権すると発表。詳しい症状は明かさなかったが「今後の五輪における教訓となることを望む。(運営側は)選手らに不安がないようにしなければいけない」とした。ベルギーの新聞は「ミシェルは大腸菌の感染症」と報道した。

 スイスも、先月31日のトライアスロン男子に出場したアドリアン・ブリフォが「胃腸感染症を患った」として登録選手を変更。個人戦後、ノルウェー選手も体調悪化を訴えるなどセーヌ川で泳いだ“鉄人”たちに体調不良が相次いでいる。

 市民の生活排水が流れ込むセーヌ川は、水質汚染で1923年から遊泳は違法。パリ開催決定後、大会組織委員会などは「セーヌ川をパリ五輪のレガシーに」と標ぼうし、市内に下水流入防止の巨大地下水層を建設するなど約2000億円もかけて水質浄化を進めた。一定の効果はあったものの、米CBSの報道では、開幕1カ月前の6月の調査で大腸菌レベルが許容範囲の10倍との結果が出た。

 先月17日にはパリのイダルゴ市長が泳いで水質改善をアピールしたが、首から下が濁った水で見えないありさま。競技の実施は、当日の水質チェックを基に判断されたが、26日の開会式当日に大雨が降ったことなどもあり、30日のトライアスロン男子が延期、この日の混合リレーに向けた公式練習も2日連続で中止になっていた。

 セーヌ川の水質と選手の体調の関係は明らかになっていないが、ベルギーの女子選手ヨリエン・フェルメイレンは「泳いでいる間に、あまり見たくないものを見たり、においがした」と発言。インターネット上には「選手はエゴ五輪の犠牲」「事前に分かっていたはず」「まずIOC幹部が泳ぐべき」など非難の声が渦巻いている。

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