岸田首相 突然の不出馬表明「私が身を引くことでけじめをつけ」 裏金事件で引責

2024年08月15日 04:40

社会

岸田首相 突然の不出馬表明「私が身を引くことでけじめをつけ」 裏金事件で引責
記者会見で自民党総裁選への不出馬を表明する岸田首相 Photo By 共同
 岸田文雄首相(67)は14日、官邸で記者会見し、再選を目指していた9月の自民党総裁選に立候補しないと表明した。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件について「私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かいたい」と責任を取る考えを示した。2021年10月の発足から3年での退陣。ポスト岸田へ早くも動きが活発化する。石破茂元幹事長(67)はこの日、訪問先の台湾で出馬意欲を重ねて表明。小泉進次郎元環境相(43)の動向にも注目が集まる。
 首相は総裁選を「新生自民党を国民に示すことが必要」と位置付け「最も分かりやすい一歩は私が身を引くこと」と表明。「新総裁選出後はノーサイド。主流派も非主流派もなく真のドリームチームをつくってもらいたい」とし「一兵卒として支えていく」と述べた。

 裏金事件では受領議員が処分を受ける一方、首相は無傷。菅義偉前首相が首相責任論を唱え、岸田降ろしののろしを上げるなど批判が高まっていた。こうした動きを意識してか、「残されたのはトップとしての責任」と切り出し「組織の長として責任を取ることにいささかのちゅうちょもない」と強調。「事案発生当初から思い定め心に期してきた」と反論するように訴えた。

 共同通信の世論調査では、内閣支持率は7月まで9回連続で20%台。衆院議員の任期満了は来年10月。来夏には参院選も控え「岸田さんでは戦えない」との声が高まっていた。それでも「再選へ心は折れていなかった」(政府関係者)。そうした中での不出馬表明。自民党関係者によると、後ろ盾の麻生太郎副総裁から、この期に及んでも明確な支持表明が得られていなかったという。50人規模の麻生派を維持する麻生氏の支えがなければ「再選は絶対に不可能」(同関係者)だった。

 現職が敗れたのは1978年の福田赳夫首相の例だけ。これは党員による初の予備選が導入され例外と言われており、突き進んで惨敗となれば歴史に名を残すところだった。別の党関係者は「ボロボロになるより、影響力を残す道を選んだのだろう」と解説した。

 お盆期間にまたも繰り出したサプライズ。首相はモンゴル首相との13日の電話会談で外交に区切りがついたとしたが、「終戦記念日翌日の16日でもよかった」(政府関係者)。小林鷹之前経済安全保障担当相(49)が15日にも出馬表明するとの情報があり、党関係者は「誰も手を挙げていない段階にこだわった。負けるからではなく、責任を取る不出馬という形にしたかった」と心中を推し量った。

 ≪早期衆院解散、泉代表警戒感≫岸田首相の総裁選不出馬表明に、野党も反応した。立憲民主党の泉健太代表は「党が危機になると首相を代え、過去を忘れてもらう手法に国民が引っかかってはいけない」と指摘し、早期の衆院解散に警戒感を示した。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「自民の中での政権のたらい回しでは何も変わらない」と強調。国民民主党の玉木雄一郎代表は取材に「日本再生のため政治の刷新が必要だ」と話し、衆院解散が早まるとの見通しを示した。

 ≪米メディア速報≫米メディアは13日(日本時間14日)、岸田首相が自民党総裁選への不出馬を表明したことを速報した。ワシントン・ポスト紙は「支持率が記録的に低かった」と指摘。韓国との関係を改善させたことを功績として言及した。AP通信は、岸田氏が自民党の派閥裏金事件を受けて派閥解消に動いたが、支持率は下がり続けたと紹介した。

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