人生100年時代を楽しく過ごすため!今から認知症予防に取り組もう
2024年09月30日 12:00
社会
65歳以上で罹患する割り合いが増加しているというデータがあり「認知症にならないような生活習慣を身につけることが大事」と力を込めた。具体的には30分以上の有酸素運動がいいという。糖尿や高血圧が病気の原因にもなるだけに、ウオーキングやエクササイズなどの有酸素運動で血行を改善し、脳に新鮮な酸素を送り込むことが望ましい。もちろん、規則正しい生活習慣を保つための食材も欠かせない。食事ではカレーや魚、玄米などの摂取がオススメで、飲料では緑茶、抹茶のほか、ポリフェノールを多く含む赤ワインやコーヒーもいいという。
そして、健康的な食事にプラスしてサプリメントの活用が有効になる。「これを摂取すれば認知症にならない」と言い切れるものではないが、バコパエキス末など天然成分が含まれるサプリメントは、忙しい現代人が必要な栄養素を補うために便利なものだ。
実は杉本博士が30代の頃、70代の母親が認知症になってしまったという。「見舞いにいって〝お母さん、八郎です〟というと〝私の息子と同じ名前だね〟と言われた。とても悲しかった」と振り返り、悔しさをバネに研究に没頭。その結果、世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」を開発し、名誉ある英国ガリアン賞特別賞に輝いた。それでも「アリセプトは症状を遅らせるが、根本治療薬ではない」という。それだけに、80代になった今でも研究を続けている。
「人生100年時代となった今、認知症になる可能性が高まるといわれる65歳はまだこれから。寿命には35年あるので、例えば定年後に起業するといい。自分で決め、自分で行動する。病気にならないためには社交性が大事になる」と語った。
実は、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβは40代から脳内にたまるという。罹患してからではなく、今から意識的に予防していくことが求められる。
■杉本 八郎(すぎもと・はちろう)
1942年(昭17)東京生まれ。薬学者、脳科学者。エーザイ入社後、新薬開発の研究室で高血圧治療薬「デタントール」、世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の創薬に成功。98年英国ガリアン賞特別賞、99年日本薬学会技術賞、化学・バイオつくば賞、02年恩賜発明賞を受賞。京大薬学研究科創薬神経科学講座教授、京大大学院薬学科最先端創業研究センター教授、同大学脳科学研究科教授を経て同大学生命医科学研究科客員教授。日本薬学会理事、有機合成化学協会理事などを歴任。認知症対策推進研究会代表理事。グリーン・テック代表取締役。趣味は俳句、剣道。杉本八郎博士に関する問い合わせは、アイコット株式会社 office@aicott.com