人生100年時代を楽しく過ごすため!今から認知症予防に取り組もう

2024年09月30日 12:00

社会

人生100年時代を楽しく過ごすため!今から認知症予防に取り組もう
日頃から取り組める認知症予防策について熱く語る杉本八郎博士 Photo By 提供写真
 現在65歳以上の4分の1が認知症とその予備軍と言われている。長寿社会を健康に過ごすため、日頃から取り組めることがあるはず。世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」を開発し1998年に〝薬のノーベル賞〟と称される英国ガリアン賞特別賞を受賞した認知症研究の第一人者、杉本八郎博士に聞いた。
 認知症予防は、人生100年時代を生きる私たちにとって大きな関心事だ。60余年の研究歴を持つ杉本博士は「認知症は特定の病気を指すものではなくひとつの概念。アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭型があり、それぞれ原因が違うが、生活習慣病のひとつ」と持論を展開した。

 65歳以上で罹患する割り合いが増加しているというデータがあり「認知症にならないような生活習慣を身につけることが大事」と力を込めた。具体的には30分以上の有酸素運動がいいという。糖尿や高血圧が病気の原因にもなるだけに、ウオーキングやエクササイズなどの有酸素運動で血行を改善し、脳に新鮮な酸素を送り込むことが望ましい。もちろん、規則正しい生活習慣を保つための食材も欠かせない。食事ではカレーや魚、玄米などの摂取がオススメで、飲料では緑茶、抹茶のほか、ポリフェノールを多く含む赤ワインやコーヒーもいいという。

 そして、健康的な食事にプラスしてサプリメントの活用が有効になる。「これを摂取すれば認知症にならない」と言い切れるものではないが、バコパエキス末など天然成分が含まれるサプリメントは、忙しい現代人が必要な栄養素を補うために便利なものだ。

 実は杉本博士が30代の頃、70代の母親が認知症になってしまったという。「見舞いにいって〝お母さん、八郎です〟というと〝私の息子と同じ名前だね〟と言われた。とても悲しかった」と振り返り、悔しさをバネに研究に没頭。その結果、世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」を開発し、名誉ある英国ガリアン賞特別賞に輝いた。それでも「アリセプトは症状を遅らせるが、根本治療薬ではない」という。それだけに、80代になった今でも研究を続けている。

 「人生100年時代となった今、認知症になる可能性が高まるといわれる65歳はまだこれから。寿命には35年あるので、例えば定年後に起業するといい。自分で決め、自分で行動する。病気にならないためには社交性が大事になる」と語った。

 実は、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβは40代から脳内にたまるという。罹患してからではなく、今から意識的に予防していくことが求められる。

■杉本 八郎(すぎもと・はちろう)
1942年(昭17)東京生まれ。薬学者、脳科学者。エーザイ入社後、新薬開発の研究室で高血圧治療薬「デタントール」、世界初のアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の創薬に成功。98年英国ガリアン賞特別賞、99年日本薬学会技術賞、化学・バイオつくば賞、02年恩賜発明賞を受賞。京大薬学研究科創薬神経科学講座教授、京大大学院薬学科最先端創業研究センター教授、同大学脳科学研究科教授を経て同大学生命医科学研究科客員教授。日本薬学会理事、有機合成化学協会理事などを歴任。認知症対策推進研究会代表理事。グリーン・テック代表取締役。趣味は俳句、剣道。杉本八郎博士に関する問い合わせは、アイコット株式会社 office@aicott.com

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