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やっぱりあった野球賭博…複数力士が“自首” 

2010年06月12日 06:00

相撲

やっぱりあった野球賭博…複数力士が“自首” 
複数の力士が野球賭博にかかわっていたことを発表する、日本相撲協会の陸奥生活指導部長(右)と八角同副部長
 日本相撲協会は11日、東京・両国国技館で会見し、現役力士数人が野球賭博にかかわっていたことを発表した。だが、力士のしこ名や人数は個人情報保護の観点から公表せず、賭博に暴力団が絡んでいるかも不明。これを受け、監督官庁の文部科学省は協会に対し真相究明を厳命、警視庁は週明けにも必要と判断した力士を事情聴取する。協会は力士が自発的に申告してきたことを情状として酌み厳重注意にとどめたが、身内に甘い体質は批判を浴びそうだ。
 角界を揺るがす不祥事は、皮肉にも暴力団観戦問題などの再発防止に向けた講習会終了後に明かされた。危機管理担当の藤島親方(元大関武双山)らが突然、報道陣に1枚の文書を配布。記されていた内容は、複数の現役力士が野球賭博にかかわっていたと協会に自己申告してきたというものだった。
 野球賭博をめぐる問題は、大関・琴光喜が5月20日発売の週刊新潮で野球賭博にかかわるトラブルに巻き込まれたと報じられたことに端を発し、夏場所中に警視庁が事情聴取する事態に発展。疑惑を全面否定した琴光喜を含め、記事で取り上げられた力士は今回含まれていないが、まさかの“自首”で疑惑は現実のものとなった。
 ただ、生活指導部の陸奥部長(元大関・霧島)と八角副部長(元横綱・北勝海)が会見で経緯などを説明したものの、具体的な内容は一切なし。個人情報保護法の観点からしこ名などを公表しないのはともかく、当該力士への事情聴取すら行っておらず暴力団が絡んでいるかも不明。警察への通報も「これからです」(陸奥部長)という体たらくで、認識の甘さばかりが際立った。
 八角副部長によると、力士は師匠を通じて「仲間内で野球賭博をした」と、あくまでも身内同士による賭け事だったことを強調しているようだが、いずれにしても野球賭博が犯罪であることに変わりはない。今後、生活指導部特別委員会が詳しい調査を行うことになるが、警視庁組織犯罪対策3課は週明けにも協会から正式な報告を受け、必要と判断した力士に対し事情聴取することを決めた。
 今後の事情聴取で暴力団の関与が明るみになる可能性もあるが、武蔵川理事長は「自己申告した者は素直に謝罪したので厳重注意した。今後、賭博行為をした者は理事会において厳しい処分をします」と理事会による正式な処分ではなく、口頭での厳重注意という“大甘処分”にとどめたことを明かした。事実関係すら明確になっていない段階で、自己申告したというだけで情状酌量とする協会の身内に対する甘い姿勢は、各方面からの批判を浴びそうだ。
 協会関係者によると、武蔵川理事長はこの日行われた十両以上の力士と親方衆が出席した講習会終了後、出席者全員に対し14日までに賭博への関与を自己申告すれば情状酌量で厳重注意にとどめると明かしたという。異常なまでの大甘対応では抜本的な体質改善にはつながらない。むしろ、賭博騒動はさらに拡大する可能性もはらんでいる。

 ▼武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海) 今後、賭博行為をしたものは理事会において厳しく処罰します。大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

 ▼陸奥生活指導部長(元大関・霧島) ファンの方々に大変ご迷惑をかけました。協会にも甘えがあったと思う。今後、このようなことがあった場合は、これより厳しい処分を下します。

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