エンブレム選考 問題は「透明性」ではない…新国立と変わらぬ“本質”
2016年04月28日 08:10
五輪
「(最終的に決まった)A案についてだけでも7~8ページ分あった。なるほど、そういう見方もあるんだと勉強になる部分もあった。でも、私は委員として投票する権利があり、責任があるので、自分としてはこの作品がいい、と思ったものに投票しました」
断っておくが、王氏がどの作品に投票したかは明らかにしていない。印象に残ったのは、最後は自分で選んだ、という部分だ。
最初のエンブレムが撤回されて以降、組織委員会がこだわったのが「透明性」。高いハードルを設けていた募集条件を一気に緩和。エンブレム委員会の様子をネットで中継したり、最終候補4作品を公表したり、と工夫は認めたい。しかし、最終候補4作品の作者は全員、プロフェッショナル。そして、国民投票は行われなかった。エンブレムは五輪の運営費用などに直結する、唯一無二に近い財産だ。高い専門性を考えれば、当然のことだろう。
では、透明性とは何だったのか?これだけ専門性が必要な作業に、誰でも参加できるポーズをとること?その方法論は「みんなも参加したよね?だから責任はみんなにもあるよね?」という安っぽい連帯感が込められているように思う。言い換えれば、責任ある立場の人間の責任放棄の一手法に過ぎないのではないか、ということだ。
王氏の発言は、与えられた責任を果たし、権利を行使したという自負が込められていた。大人が与えられた役割を果たすということは、そういうことではないか。問題が起きたケースで誰がどう責任をとるのかさえ明確化していれば「透明性」は最初から大きな問題ではなかったのでは、とも思う。問題の本質は、新国立競技場の白紙撤回と何も変わらず、今回も根本的な解決にいたらなかったと分析すると、この先も何か波乱の予感はする。(首藤 昌史)
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