リオ・パラリンピックで得たものを4年後に生かすために
2016年11月01日 11:35
五輪
一方、今回のリオ・パラリンピックに対する選手たちの評価は5点満点の3・5点でおおむね良好だった。一方で個別にはネガティブな指摘も多く、たとえば選手村のエレベーターは数は多いものの、「狭くてボタンがわかりづらかった」という。また、ゴールボールの選手からは「観客に観戦マナーの案内がなく、競技の進行に支障をきたした」との指摘があった。視覚障がい者がプレーするゴールボールはボールの中の鈴の音に反応して選手が動くため、プレー中は館内が静寂でなければならない。ところがリオでは観客の歓声や館外からの騒音がひどく、他国の選手たちにも不評だった。おそらく観客に悪気はなく一生懸命応援しただけなのだろうが、それで選手に迷惑をかけたのでは本末転倒だ。選手村と各会場を結ぶシャトルバスに関しても「車いすが進行方向に対して横向きで危険だった」という指摘があり、「なるほど」と考えさせられた。
発表の席で垣内氏は「ハードは変えられなくてもハートは変えられる」と強調した。障がい者に合わせて駅や会場にスロープを設けたり、専用のトイレを増設するには時間も金もかかる。だが、周囲の人々の心はすぐにでも変えられるし、一円もかからない。真の共生社会実現に向け、我々にできること、やらなければならないことはまだまだたくさんありそうだ。(編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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