中村匠吾がMGC切符 日本人トップ7位、残り9秒“滑り込み”
2018年03月05日 05:30
マラソン
「40キロで時計を確認して、ここまで来たら行くしかないと思った。体は動いていた。気持ちを強く持って行けたのが良かった」
27キロで先頭集団から脱落しながら粘った。2月にオーストラリアで行った2週間の高地合宿の効果も出た。ラストは、16年全日本実業団対抗選手権5000メートルで日本人1位のスピードが生きた。40キロ以降の2・195キロのタイム6分46秒は、優勝したディラングの6分32秒に次ぐ全体2番目の速さだった。
19年9月以降にある20年東京五輪代表を決めるMGCの出場権を、ギリギリでつかんだ25歳は、この一戦にかけていた。本来なら、昨季マラソンデビューのはずだった。しかし、16年末に左膝を故障。17年春までの戦線離脱を余儀なくされた。富士通の福嶋正監督(53)は「東京五輪から逆算すると、今年じゃないとダメ。来年が初マラソンだと、いきなりMGCへの挑戦になるので」と、今季中に権利をつかんだ意義を口にした。
福岡国際で大迫が好走し、東京では設楽悠が日本新を出した。ともに1学年上の91年生まれ。「刺激になった。流れに乗りたい気持ちだった」と、同年代の活躍も精神的にプラスに働いた。
7位という順位は「力不足」と反省もしたが、明るい材料もある。この日は気温19・5度まで上がったが「暑さに苦手意識はない」と意に介さなかった。厳しい条件が予想されるMGCも、代表権をつかんだ先の東京五輪も、中村にはいいイメージが浮かんでいるはずだ。
◆中村 匠吾(なかむら・しょうご)1992年(平4)9月16日生まれ、三重県出身の25歳。上野工(現伊賀白鳳)―駒大。主将を務めた4年時に、箱根駅伝1区区間賞。富士通に入社した今も駒大を拠点とし、同大学の大八木弘明監督の指導を受ける。大学、社会人の先輩にあたる藤田敦史氏(現駒大コーチ)からも助言をもらう。1メートル72、55キロ。好きな食べ物は焼き肉。
▽マラソングランドチャンピオンシップ(MGC) 19年9月以降開催予定の20年東京五輪代表選考レース。男子のMGC出場権獲得は今季(17〜18年)と来季(18〜19年)の国内主要5大会で日本陸連が定めた順位、記録をクリアするか、国際大会で上位の成績を収める必要がある。今回のびわ湖毎日マラソンでは日本人1〜3位以内でタイムが2時間11分以内、もしくは日本人4〜6位で2時間10分以内が条件だった。
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