大野将平「想定内」だった敗戦 リオ金から東京五輪へ「気持ちのスタミナ」戻るまで
2018年04月13日 10:15
柔道
リオ五輪で柔道の神髄を誇示するような戦いぶりで金メダルを獲得後、大野は東京五輪の代表選考レースの最前線から距離を置いた。昨年は無差別で争われる4月の全日本選手権に念願の出場を果たし、その後は天理大大学院の修士学生として勉学中心の日々を過ごした。修士論文の研究テーマは大外刈り。本格的な競技生活から離れたのは、もちろん、この2つをやり遂げること自体に目的があったと思う。一方で大会3週間前に天理大で応じたメディア各社の合同インタビューでは、こうも語っていた。「もし(リオデジャネイロ)五輪を終えてずっと大会に出ていたら、気持ちの部分でスタミナ切れをしていたのかなと思います」。
スピードスケートの高木美帆は、シーズン最終戦を終えて成田空港に帰国した際に「次へ向かって頑張っていくための気持ちの回復を優先したいなと思っている」と語った。まだ23歳。年齢だけを見れば、22年の北京五輪も、その次の26年冬季五輪出場も可能だろう。だが平昌で3色のメダルを獲得したヒロインは、おいそれと3度目の五輪出場を明言しなかった。4年後へのモチベーションよりも、再び頂点に至るまでの道のりを思えばこそ、軽はずみに目指すとすら言えない。大野の言葉を借りれば、高木美帆の「気持ちのスタミナ」は北京五輪まで完走できないほどに減っているということなのだろう。
振り返れば15年のラグビーW杯を終えた後のリーチ・マイケルもそうだった。W杯を終えた後、満足に休めないままトップリーグでプレーし、心も体も疲弊していた。翌16年は代表招集を固辞。チームとの契約によって選手生活が成り立つプロ選手としては致し方ないことだったかも知れないが、その疲弊具合は尋常ではなかった。後にW杯後のことを振り返り、「バーンアウト(燃え尽き)していた」と語っている。
大野の選択が正しかったどうかは、ある意味では東京五輪の結果次第とも言える。金メダルを逃したら、あるいは五輪代表にもなれなかったら、もしかしたら誤りだったと結論づけられてしまうかも知れない。ただ、金メダリストがリスクを負って下した選択は、称えられるべきだとも思う。「休み方改革」などという言葉が叫ばれる日本。トップアスリートが先鞭をつけてくれたら、世の中に与える影響も大きいはずだ。(阿部 令)
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