関学大タックル被害選手の父が会見、日大の対応次第では告訴も
2018年05月22日 05:30
アメフト
「加害者がなぜあそこまで追い込まれたのか。内田監督の会見で真実を聞くことができなかった」
日本中に物議を醸したプレーから13日たった19日、初めて日大サイドから謝罪を受けた。だが、指示の有無など、事件の核心部分については「(24日期限の)文書でお答えします」の一言だけ。誠意のかけらさえ感じられない姿勢に、奥野氏は「釈然とせず、もやもやとした気持ち」と怒りをあらわにした。
問題の試合は現地で観戦していた。長男が投げたボールの行方を追っていて、何が起きたか分からなかったが、試合後に映像を見て驚いた。他にも悪質なプレーがあったとし「何度も殴られていて、憤りが収まらなかった」という。負傷した長男は家族の前で「こんな悲しい思いをするんだったら、アメフットをやらなければよかった」と声を押し殺しながら語った。被害届については「家族で散々話し合った結果だ」と苦渋の決断だったと吐露した。ケガは全治3週間で、数日前からトレーニングを始められるまでに回復したという。
「この件が報道がされたときから、日大の対応いかんによっては、告訴まで検討せざるを得ない(と考えていた)。その一歩手前の被害届を、本日、出させてもらったということです」。その言葉に疑問に対する答えを白日のもとに暴き出す強い決意を感じさせた。
▼奥野氏コメント 監督の会見で真実を聞くことができませんでした。実質、なぜ彼をあそこまで追い込んだのか。あのコメント、監督自身は“調査をする”とおっしゃっていました。絶大な権力をお持ちの内田監督が、チームをどのようにコントロールされたのか、わたしは存じ上げておりません。ただ、今までそういった行為のなかったチームが、わたくしの息子に、なぜあのようなことをしたのか。報道では“つぶしてこい”“壊してこい”“殺してこい”“ケガをさせろ”。この4つのワードが出ていました。その言葉を聞くたびに、私の息子をつぶしてこい、壊してこい。そう聞こえてなりませんでした。どの親も憤ると思います。アメフットというスポーツが、フェアで安全なスポーツであることを、日本のみならず、世界の方々に知ってもらうためにも、キチッとした形で、これから開かれる規律委員会で、あちらのチームの皆さんが正直にお答えいただいて、真相究明をしていただきたい気持ちです。
▼大沢孝征弁護士 論点は2つある。まず一つは日大の選手を傷害罪として立件できるのか。通常、スポーツの試合中に起こったことはルールで処理する。選手は退場や出場停止の処分を受けている。今回のタックルはスポーツとしての許容範囲を超えているのか、違法性があるのか。アメフット、スポーツ医学などの専門家の意見を踏まえ、慎重に判断する必要がある。立件はそうたやすくはない。もう一つは日大監督の教唆犯が成立するのか。報道では「つぶしてこい」と指示したと言われているが、実際はどうだったのか。大相撲の日馬富士の暴行事件の時と同じで何があったのかを警察が調べる。教唆があったとなれば、監督の罪が問われることになる。
▽傷害罪 人の身体に傷害を負わせる行為によって成立する犯罪。刑法204条により、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。
▽教唆犯 犯罪意思を持っていない他人をそそのかして、犯罪を実行させる罪。共犯の一種。正犯の刑が科される。
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