稀勢、万全戻らず休場 横綱ワースト8場所連続、秋待ったなし
2018年07月06日 05:30
相撲
「必死に稽古をしてきたが調整がうまく進まず、休場することにした。来場所、全てを懸けて頑張っていきたい」
2日には横綱・白鵬と胸を合わせるなど、4日まで3日連続で出稽古した。だが「全体的に物足りなさがあった。自分の気持ちに納得がいかなかった」という。4日の夕方、田子ノ浦親方との話し合いで休場を申し出た。
長期休場の要因は、新横綱で優勝した昨年春場所で負傷した左大胸筋。田子ノ浦親方によると、現在も痛みがあるという。そんな状態でも今年初場所までは5場所中4場所で強行出場し、途中休場を繰り返した。それも負傷が癒えない一因だった。初場所の途中休場後は、次に出場する場所で進退を懸けると明言した。同じ失敗は許されない。横綱審議委員会は夏場所後の会合で名古屋場所の休場を容認する見解で一致していた。だが、稀勢の里は周囲の声を受け入れたわけではなく、自ら決断した。
復活の兆しは見えている。「感覚的には今までと違うものを名古屋でつかめた。左(からの攻め)は自然に出るようになった。あともう少しのところ」。万全に戻るまであと少しと感じているからこそ、3場所連続全休を選択した。
名古屋場所後は26日間に及ぶ夏巡業が控える。「いい状態で臨みたい。(名古屋)場所中もしっかり稽古していきたい」。これまで激しい稽古で横綱まで上り詰めたように、復活には稽古を重ねるしかないということを再確認している。初心に帰り、相撲人生を懸ける秋場所に向かう。
≪白鵬は休場に同情、鶴竜エール≫モンゴル出身の両横綱は休場する稀勢の里を気遣った。名古屋市内での前夜祭に参加した白鵬は「何となく気持ちは分かる」と同情。稽古で相撲を取っているだけに、状態については「いいと思った」という。無理をせず、夏巡業でもう一度鍛え直す和製横綱の選択には「そういうことになったんじゃないか」と理解を示した。一方で、スランプを乗り越えた鶴竜は「変にストレスをためないで頑張ってほしい」とエールを送った。
▼田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)場所前から一生懸命やってきたが、もう少し時間をいただきたい。体はかなり動いてきたので稽古で自信をつけさせたい。相撲で恩返しするしかない。もう一度、チャンスをもらいたい。
▼横綱審議委員会・北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)体調が回復しつつあると伝えられていたので、休場となったことは残念だが、万全ではないと自ら判断したのだからやむを得ない。ファンの期待に応えたい気持ちとの相克はさぞ苦しいことと思うが、来場所に全てを懸けるという本人の決意を尊重したい。
▼西岩親方(稀勢の里の兄弟子、元関脇・若の里)東京で復活するのが一番いい。じっくり構えられる。今回の決断は、よかったと思う。100%じゃなくて120%。そこまでじっくりやったらいい。泥だらけになって、初心に戻ってやればいい。
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