錦織圭がウィンブルドンから変えたこと「一球入魂ですね」
2018年07月06日 08:00
テニス
マイケル・チャンコーチは今大会には帯同していないが、チームの顔ぶれに変化はない。ラケットもウィルソンとの生涯契約、ウエアはユニクロ、シューズはナイキのままだ。右手首のケガから復帰後に目に見えて変わったサーブのフォームも今はなじんで落ち着いている。
では何を変えたかというと、第2サーブを打つときのルーティンである。これまではボールパーソンから受け取ったボールを1つはポケットにしまい、もう1つを第1サーブで打っていた。入らなければ、ポケットにしまったボールを取り出して第2サーブを打っていたのである。
ところが今大会はポケットに入れることなく第2サーブを打つ前にボールをもらい直している。「一球一球集中するっていう思いが一応込められてるんです。そういう気持ちでやりたいなと」。わざわざボールをもらい直すのは面倒くさいから第1サーブを入れようとする。それで確率が上がる。そんなぐうたらな思惑もあるという。
錦織も「一応」と言ってしまっているので、そんなに生真面目に考えているわけではないようだ。「まあ、忘れるときもありますね。まだクセが残ってるんで」とポケットにボールを入れてしまったり、ボールが入っていないのに一連の動きの中でポケットを触る動作も残っている。
この日のトミック戦はサービスでピンチを切り抜け、エースが24本を数えるなど好調だった。とはいえ1回戦ではダブルフォールトが7本もあり、新ルーティンに即効性があったとは言い切れない。「今日だけに関してはよかったけど、しばらくやってみないとまだ分からない」というのが偽らざる心境だろう。
「一球入魂ですね。誰かの言葉を借りると」と最後に付け加えて笑った錦織。その脳裏に浮かんでいたのは、日本テニスの黎明期に活躍し「この一球は絶対無二の一球なり」という言葉を残した福田雅之助だったか。それとも、その言葉を試合中につぶやいてウィンブルドン8強入りしたあの熱血な人物の方だったろうか。(雨宮 圭吾)
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