進退懸ける稀勢の里、9場所ぶりの白星発進に「集中してやりました」
2018年09月10日 05:30
相撲
相撲内容も“いつも通り”に戻った。勢とは昨年名古屋場所5日目以来の対戦。前回は小手投げに屈し、左足首を負傷して休場に追い込まれていた。同じ過ちは繰り返さない。しっかり当たって左下手を引くと、圧力をかけて出た。相手が引くと体を預けるように出て寄り切り。通算15勝1敗の相手を危なげなく退けた。
8場所連続休場を経ての土俵。進退を懸けて臨む横綱に迷いはなかった。八角理事長(元横綱・北勝海)は「開き直っていったんだと思う。とにかく当たるんだという気持ちが強かったのではないか」と分析。7場所連続全休を経験している貴乃花親方(元横綱)は「緊張しながらも、いい相撲だった。“やってやるぞ”というのが見えた」とにじみ出る闘争心を感じ取っていた。
師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は「(稀勢の里が)集中したいと言っている」という理由で、この日から朝稽古を非公開とした。周囲の後押しに応えるように快勝したが、まだ15分の1を終えただけだ。「今日は今日で、明日は明日。やることをしっかりやって、自分の力を出すだけ。それだけ」。一つの白星に心を乱すことなく、稀勢の里は引退と隣り合わせの復活ロードを進んでいく。 (佐藤 博之)
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