大坂なおみ 全米制覇 憧れセリーナをストレートで 世界ランク7位に浮上
2018年09月10日 05:30
テニス
S・ウィリアムズが「もうやめて!なおみを称えてあげて」と呼びかけ、大坂は「みんながセリーナを応援していたのは分かってる。こんな結末でごめんなさい。とにかく試合を見てくれてありがとう」と涙声で絞り出した。その不憫(ふびん)な姿に、ようやく場内は歓声一色に染まった。
大坂も自分がコートにいなければ、誰よりもS・ウィリアムズの優勝を望んでいたはずだった。テニスを始めたきっかけがウィリアムズ姉妹で、小学3年生の時には“セリーナ研究”をつくったほど。ずっとその背中を追いかけてきた「アイドル」だったからだ。
4大大会決勝での対戦は最大の夢。しかも幼少期を過ごしたニューヨークでの全米オープンに一番思い入れがあった。夢は現実に変わり、S・ウィリアムズといえども倒すべき相手に変わった。オフコートでは人並み以上にシャイな大坂が、左手を握りしめ、太腿を小さく叩いて自分を奮い立たせた。拳で殴り合うようなラリーを展開し、強烈な一撃を食らってもすぐにエースを返して「カモーン!」と声を張り上げた。
「ねえ、サーシャも現役時代は闘争本能(キラー・インスティンクト)ってあったでしょ?」。7月のウィンブルドンでサーシャ・バイン・コーチ(33)は大坂から質問を受けた。さも当然のように言うので「いや僕にはなかった」と答えると「なんで?」と不思議がったという。「みんながそれを生まれ持っているわけじゃないんだよ」。大坂が持つその本能が徐々にS・ウィリアムズをのみ込んでいった。
4大大会23度の優勝を誇る元女王は3度の警告を受け、第2セット第8ゲームはゲームペナルティーで大坂に与えられた。相手が主審らに抗議する間は「後ろを向いていて何も聞こえなかった」と壁と向き合って集中力を保った。16歳差の決勝戦は4大大会で2番目の年の差対決。そこでの圧勝は新時代、大坂の時代の到来を予感させるものとなった。
「試合中はただの相手として向き合っていた。試合が終わってハグされて、子供に戻ったみたいだった」。試合後はテニス少女の顔に戻り、表彰式では「一緒に戦えて感謝してます」と恐縮しながら、S・ウィリアムズにぺこりと頭を下げた。日本スポーツ界の歴史に残る偉業は、この気弱で勝ち気な20歳によって刻まれた。
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