聖光学院 初出場初勝利ならずも…藤田主将意地の1トライ
2018年12月29日 10:44
ラグビー
全国の壁が、聖光学院フィフィティーンの前に立ちはだかった。藤田主将が「完全に空気にのみ込まれた」と話すように、前半は好機を自らのミスでつぶすなど、いつも通りとは程遠いプレーを連発。守備力に自信を持つ城東の鋭いタックルにも手を焼き、自慢の展開ラグビーは影を潜めた。佐藤忠洋監督(44)も「前半の動きの固さが終盤まで尾を引いた。相手が一枚上でした」と唇をかんだ。
それでも、後半は意地を見せた。同11分、敵陣5メートル中央のスクラムから藤田主将が持ち出し、タックルを仕掛けてきた2人を振り払ってインゴールへダイブ。藤田主将は「主将として自分が前に出ようという気持ちがトライにつながった。1トライを達成できて良かった」と笑顔を見せた。
ラグビー人口を増やすため、伊達市内の小学校への出前授業や、タグラグビー教室などで普及にも力を入れてきた。選手も教室に参加し「先生」として指導する姿に佐藤監督は「未経験者が多い中、しっかりラグビーを理解して、教えられるレベルまで到達してくれたのは大きな成長」と目を細める。花園出場後の教室では「聖光でラグビーをやりたい」と話す小、中学生が続出。藤田主将は「大好きなラグビーを、自分たちのプレーと指導で普及できたことがうれしい。これからラガーマンが増えていってほしい」と力を込めた。
創部51年で初の花園出場と、新たな歴史の1ページをつくったフィフティーン。藤田は、届かなかった初勝利を「自分たちが越えられなかった壁を越えてほしい」と後輩に託す。甲子園常連の野球部に負けじと「強豪・聖光ラグビー部」への成長に向け、明るい未来への一歩を踏み出したばかりだ。(秋元 萌佳)
<勝たせてあげたかった」2コーチも無念> ○…今年5月から指導に訪れている三菱重工相模原ダイナボアーズの伊藤雄大(36)、安藤栄次(36)両コーチもベンチから試合を見守った。安藤コーチは「この1年間のことがいろいろとよみがえりました。彼らに教わったことの方が多い。勝たせてあげたかった」と肩を落とした。藤田主将は「2人のおかげでここまで来られた。歴史を変えてくれた2人に感謝しかない」と、強力な助っ人と立った夢の舞台を振り返った。
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