陵侑、史上9人目のW杯“1シーズン10勝” フライングヒルでも初勝利
2019年02月04日 05:30
ジャンプ
「やっぱりちょっとのことで変わる競技なんだなと。靴を新品の硬いものに替えたのが良かった」。1日の第17戦で今季初めて2桁順位の14位に終わり、この日からブーツを新調したことが功を奏した。今季は年末年始伝統のジャンプ週間で、史上3人目の4戦全勝優勝を飾るなど快進撃を続けたが、試合を重ねるうちに靴がへたり、軟らかくなっていた。宮平ヘッドコーチによると、硬いブーツを用いると「スキーを体にうまく寄せられる」という。飛び出しで素早く滑空姿勢に移る持ち味がよみがえり、高さのある飛行曲線でヒルサイズに迫った。
札幌でのW杯2連戦(1月26、27日)では風の不運もあって3位が最高。地元で体調を整え、再チェックしたジャンプも、問題がないことを確認して臨みながらも結果が出ず、前日までは「うまく飛べないことにいらだっていた」と明かした。所属先の監督を兼任する葛西に「どうやって飛んでいいか分かんない」と相談すると「そんなに悪くないから、何も考えずに飛べ」と諭され、気持ちが吹っ切れたという。
今季9勝を挙げたラージヒルに続き、200メートルを越える飛距離で争うフライングヒルでも初優勝。「今日のところは上出来」と上機嫌で話した。日本男子初のW杯総合優勝と、20日開幕の世界選手権(オーストリア・ゼーフェルト)へ弾みのつく1勝となった。
◆小林 陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年(平8)11月8日生まれ、岩手県八幡平市出身の22歳。5歳でスキーを始め、小1からジャンプを本格的に開始。盛岡中央高まではノルディック複合との二刀流で、15年に入社した土屋ホームでジャンプに専念。16年1月にW杯初参戦。18年平昌五輪はノーマルヒル7位、ラージヒル10位。1メートル74、60キロ。兄・潤志郎(雪印メグミルク)はW杯1勝、姉・諭果(CHINTAI)と弟・龍尚(盛岡中央高)もジャンプ選手。
▼スキーフライング K点170メートル、HS185メートル以上の巨大なジャンプ台(フライングヒル)を使用して行われる。踏み切り時のスピードは約100キロ。W杯でもシーズン数戦が行われており、世界選手権も併催される。現在の飛距離の世界記録はクラフト(オーストリア)の253.5メートル。
【W杯1シーズン10勝以上の選手】
☆ペテル・プレブツ(スロベニア) 15勝(15〜16年) W杯シーズン最多勝利記録保持者。総合優勝1回。14年2月にジャンプ史上初の250メートルをマーク
☆グレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア) 13勝(08〜09年)・10勝(12〜13年) W杯歴代1位53勝、総合優勝2回。フライングヒルで個人最多の14勝。世界選手権金6個、五輪金1個
☆ヤンネ・アホネン(フィンランド) 12勝(04〜05年) W杯総合優勝2回、通算36勝。ジャンプ週間最多5度の優勝。世界選手権金5個
☆マルティン・シュミット(ドイツ) 11勝(99〜00年)・10勝(98〜99年) W杯総合優勝2回、唯一の2季連続2桁勝利。世界選手権金4個、五輪金1個
☆アダム・マリシュ(ポーランド) 11勝(00〜01年) W杯総合優勝4回、歴代3位の39勝。世界選手権金4個のポーランドの英雄
☆マッチ・ニッカネン(フィンランド) 10勝(82〜83、87〜88年) W杯総合優勝4回、歴代2位の46勝。五輪金4個、世界選手権金5個の「鳥人」
☆アンドレアス・ゴルトベルガー(オーストリア) 10勝(94〜95年) W杯総合優勝3回、通算20勝。コカイン使用や国籍変更騒ぎも起こした人気者
☆トーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア) 10勝(07〜08年) W杯総合優勝2回、世界選手権金7個、06年トリノ大会2冠など五輪金3個
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