笑う好漢
2019年08月24日 09:00
自転車
彼女のようなスポーツパーソンって、他にいるのだろうか…としばし熟考していたら、新城幸也の顔を思い出した。ご存じ、自転車ロードレースのプロ選手。現在はバーレーン・メリダに所属している34歳だ。
その新城の出場するレースを取材したのは5年ほど前だった。さいたま市内の周回コース。指定されたフォトグラファーゾーンに陣取って新城が通過する度にシャッターを切り続けた。レースも中盤から終盤に入ったころ、各選手が猛然とスパートを掛ける。懸命にペダルを踏む、業界で言うところの「もがく」状態だった新城を撮影したのが別掲の写真。
あれ? 笑ってるよね。ニカっと。
その後、特集記事の取材で本人とじっくり話をする機会があり、例の場面についてさりげなく尋ねてみた。あの時は笑顔でしたね? 余裕しゃくしゃく、って感じだったんですか?
「いいえ全然。もう必死でしたよ」
え? 明らかに笑っていたけど。
「そうなんです。よく言われるんです。なんだかボク、苦しい時ほどあんな表情になるみたいで。あははは」
つまり新城の場合、必死になればなるほど口角が上がってしまうらしい。本人の意思とは全く関係なく。
そう、インタビューの最中も笑顔のオンパレードだった。今でも「ナイスガイ」と言えば彼の名を真っ先に挙げたくなる。
2010年のジロ・ディタリアでステージ3位(ゴール前300メートルまではトップだった)、同年の世界選手権では9位の好成績。12年のツール・ド・フランスでは暫定マイヨ・ジョーヌに加えてステージ敢闘賞を受賞するなどで世界のトップカテゴリーで存在感を発揮してきた。一方で大けがに見舞われるケースも多い。今年3月も落車して左ヒジを骨折し、シーズン前半を棒に振っている。
長いリハビリ生活を経て6月に完全復帰し、8月24日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャ出場メンバーに晴れて選出された。
あの太陽のような笑顔が晩夏のグランツールに帰ってくる。シンデレラの微笑と同じくらい、スペインから届くはずのスマイルが待ち遠しい。(専門委員)
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