新谷仁美 女子1万、18年ぶり超絶日本新V!2度目の五輪代表決めた
2020年12月05日 05:30
陸上
迎えたラスト1周。大記録を期待する観客3040人の歓声と拍手が響いた。「応援がある中で走るのが久しぶりで、終始、うれしい気持ちで走れた」。勝てば五輪代表に決まる状況でも、こだわったのは記録。渋井陽子の記録を18年ぶりに塗り替えた日本新は、一気に28秒45も更新。鬼気迫る顔が、泣き顔に変わった。
「復帰したときに、日本記録を更新しなければ世界と戦えないと思っていた。こうして切れて良かった」
30分20秒44は、12年ロンドン五輪の優勝記録、30分20秒75をも上回る。当時、4年に1度の祭典に初めて挑んだ24歳の新谷は、30分59秒19で9位に終わった。あれから、8年。右足裏筋膜炎に苦しみ14年に引退。会社員生活を経て、18年に現役復帰した。紆余(うよ)曲折が心を大きく育てた。
昨年の世界選手権は「敗北」の11位。練習メニューを横田真人コーチ(33)に一任した。栄養士やトレーナーの教えも請うようになった。故・小出義雄さんに指導を受けていた引退前は、何度も衝突。岡山に帰郷したことは1度や2度ではない。今は「背負ってきたことが分散できた。1人が当たり前と思っていた。分散することで気持ちが軽く走れる」と違いを口にする。
「結果が出なかったら全てコーチの責任にしようと思ったが、結果が出たので横田コーチのおかげ」。レースは独り旅でも、もう孤高の天才ではない。「東京五輪は関係なく、その都度、最高のパフォーマンスを、アスリートとして、パフォーマーとして、人として見せていきたい」。32歳は今、円熟期を迎えている。
【新谷 仁美(にいや・ひとみ)】
☆生年月日 1988年(昭63)2月26日生まれ、岡山県総社市出身の32歳。
☆サイズ 1メートル66、43キロ。
☆種目を選ばない運動能力 山手小ではバスケットボールやサッカー、総社東中ではバトントワリングにも親しむ。
☆思い切りの良さは引き際も!? 13年モスクワ世界選手権1万メートルで5位になりながら、右足裏筋膜炎に苦しみ、14年1月に突如、引退表明。会社員を経て18年に復帰した。
☆名言(迷言?)のデパート 歯に衣(きぬ)着せぬ発言が注目に。「別に宇宙人と走っているわけではない」(12年ロンドン五輪)、「漏れそうだった」(ハーフマラソンの日本記録を出した20年ヒューストンハーフ)など。
☆レースの鬼もメロメロ!? 愛犬2匹の名前は「むさし」と「こたろう」。江戸時代が舞台のアニメ「銀魂」にはまり、宮本武蔵、佐々木小次郎から命名。小次郎と劇中のキャラ、こたろうを混同したのはご愛嬌(あいきょう)。
▽女子10000メートル (1)新谷仁美(積水化学)30分20秒44=日本新(2)一山麻緒(ワコール)31分11秒56(3)佐藤早也伽(積水化学)31分30秒19 五輪参加標準記録 31分25秒00
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