アメフト版伝統の一戦「関学大-日大」13日に激突 伝統に新風吹き込む両指揮官
2020年12月09日 05:30
アメフト
決意を表明した関学大の大村和輝監督に、甲子園ボウル初タクトの気負いはない。28年間率いた鳥内秀晃前監督から今年1月に引き継いだバトン。いきなりコロナ禍に見舞われ、練習どころか部員と顔を合わせることさえままらない春を過ごした。
「学生とのコミュニケーションも、画面越しでは伝わるのも半分ほど。それが一番難しかった」
09年に母校へコーチとして復帰してからも、年に一度は米国に単身留学する勉強家。当然、苦境に手をこまねいていただけではない。自粛期間中に心掛けたのは2点。イメージを失わないように、選手とは昨年のプレー映像を見ながら指導し、読書の重要性も説いた。オフェンス、ディフェンス両面を知る強みを生かして選手を掌握。関西1部秋季トーナメントでは、決勝戦で立命大を劇的な逆転で下し、学生日本一を争う舞台へ導いた。
大村監督とは違う意味で、日大の橋詰功監督が指導でぶつかった壁も厚い。騒動後の18年7月、「どうせ当たらへんわ」と監督の公募に応募したところ就任が決定。立命大のライスボウル2連覇(02、03年度)などに貢献した名コーチでさえ、最初は全く違うフットボール文化に面食らった。伊東慧太主将が当時の“空気”を述懐する。
「僕らはとにかく練習で走って(3年前に)関学大に勝った固定観念があった。橋詰監督になって練習量が減って、プレーも10分の1になって、こんなので勝てるのか、と意見がぶつかって、学生も言うことを聞かなくなっていた」
効率を求める指導者と、伝統の呪縛から逃れられない選手との対立構図。時にお互いに涙を流すほど熱く対話し、歩み寄り、最後はフィールドで結果が出たことで、両者の溝は埋まった。
「関学さんには10回やって1回勝てるか。その1回を3年前にやってるんで」
報道陣の笑いを誘った橋詰監督の目は、決して笑っていない。「オレ流」で名門の風景を変えた2人の指揮官が見せる采配も注目の大一番。「青」と「赤」の歴史は、ホイッスルが鳴った瞬間、新章に入る。
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