【橋本聖子会長×二宮清純氏特別対談(6)】東京モデルをレガシーに、延期の経験後世へ

2021年03月22日 08:40

五輪

【橋本聖子会長×二宮清純氏特別対談(6)】東京モデルをレガシーに、延期の経験後世へ
笑顔を見せる東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本会長と二宮清純氏(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 二宮 中国オリンピック委員会からワクチン提供の申し出がありましたが、事前にバッハ会長から日本政府や組織委に一言あってもよかったのではないでしょうか。
 橋本 それがIOCなんですね。おこがましいかもしれませんが、今後も持続可能な、誰もが期待する五輪・パラリンピックの姿を描いていくのであれば、そういったことを変えていくことを促す東京宣言が必要だと思います。まさに東京モデルです。戦争で中止はあっても、延期は初めて。この東京大会だからこそ、1年延期の準備をしていく苦しみと喜びは後世に伝えていかないといけない。

 二宮 苦しんだり喜んだりしたこと自体がレガシーだと。

 橋本 レガシーですね。今後の五輪・パラリンピックは柔軟性を持って対応していかなければいけない。IOC、IPC(国際パラリンピック委員会)にも理解いただいて、そういうものに変えていく時が今回じゃないかと思います。

 二宮 前向きなメッセージを出したいと。

 橋本 出したいです。今、作り上げたいと思っています。無理なことを承知で改革していいかな、お願いしたいなと思っているのは、気軽に五輪を見られるようにすることです。放映権の問題で見たくても見ることができない人がいる。家族や友達は予選から見たいけれど、予選は流してもらえない。オリ・パラ合わせて1万5000人の選手がいて、テレビに映るのは、多分その10分の1もいない。多くは予選で敗退して、誰の目にも触れないで終わってしまう。ファンや家族はその時を、スマホでもいいから見たいと思う。それは相当な市場拡大にもなると思います。今回、海外の一般の方が来られないとなった時、何かないと申し訳ない。

 二宮 橋本会長は政治経験豊富です。私見ですが、政治家の仕事は最悪の状況下で最善のカードを切ることだと思っています。考えたくはないけれど、列島がコロナの第4波に襲われる可能性はゼロではない。最悪の状況は想定されていますか。

 橋本 そうですね。シミュレーションができていないとそういう立場にはなれない。

 二宮 開催の可否を最終的に判断するのはIOCですが、第4波が来て、国民生活が大変だ、医療従事者が疲弊し、病床が足りないという時は、組織委員会のトップとしてIOCにとって“不都合な現実”を突きつける局面が出てくるかもしれない。

 橋本 そうですね。政府と東京都と組織委員会が決断をする時には、どうするべきか、そして、その時の影響とその後の問題を考えておかないといけない。

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