ゴルフ女子“無名”の萌寧が銀「勝率100%」POの鬼、1H目で制す「重大な任務を果たした」

2021年08月08日 05:30

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ゴルフ女子“無名”の萌寧が銀「勝率100%」POの鬼、1H目で制す「重大な任務を果たした」
<ゴルフ女子最終日>2位決定プレーオフを制し銀メダルを決め対戦相手のリディア・コーと(手前)と抱き合う稲見(撮影・会津 智海) Photo By スポニチ
 【東京五輪第16日 ゴルフ女子最終日 ( 2021年8月7日    埼玉・霞ケ関CC=6648ヤード、パー71 )】 女子の稲見萌寧(もね、22=都築電気)が銀メダルを獲得した。首位と5打差の3位で出た最終日に、9バーディー、3ボギーの65の猛チャージ。通算16アンダーで、2位で並んだ米ツアー16勝のリディア・コ(24=ニュージーランド)とのプレーオフに臨み、1ホール目で制した。ネリー・コルダ(23=米国)が通算17アンダーで優勝した。稲見は前回大会から五輪競技に復帰したゴルフで日本勢初の表彰台。マスターズの松山英樹、全米女子オープンの笹生優花の優勝に続き、また日本ゴルフ界初の快挙となった。
 うれしさも悔しさも18番に詰まっていた。稲見は首位タイで迎えた最終ホールで、第2打をバンカーに入れた。目玉で寄せ切れずにボギー。金メダルの夢ははかなく消えた。

 しかし「がっかりという気持ちは少なくて。プレーオフの勝率は100%。そこを貫き通す気持ちが一番でした」と銀メダルを懸けた18番でのプレーオフへ切り替えた。元世界ランキング1位でリオ五輪銀のコとの一騎打ち。名手が第1打から不安定でパーを逃したのに対し、2オン2パットのパーで、ボランティアから温かい拍手を浴びた。銅メダルを懸けた7人によるプレーオフで敗れた男子の松山英樹から「男子でメダルを獲れなかったので女子で頑張って」と激励されていた。国内ツアー3戦全勝のプレーオフで勝負強さを発揮し期待に応えた。

 昨年末の世界ランキングは五輪代表圏外の日本勢5番手。今年だけでツアー5勝を挙げ、2番手まで駆け上がり権利をつかんだ。グリーン脇の表彰台に上がり「全然想像できなかった。五輪に出場できたことが自分の中では奇跡なので」と祭典の重みをかみしめた。

 躍進を支えるのがショットだ。9歳でクラブを握った時から「空振りを一切せず、うまくいいスイングで打てていた」という天才肌。中学校からは、時に1日10時間もの打ち込みで腕を磨いた。19年には国内ツアー歴代最高のパーオン率78・2079%を出した。

 悪天候予想で開始が1時間早まった最終日も、正確なショットを武器に12番から4連続バーディー。13番は120ヤードを1・5メートルに付けた。同組の選手に1Wで50ヤード近く置いていかれても、アイアンで対抗。改修でうねりが大きくなった名門・霞ケ関CCのグリーンの、限られた平面をよく捉えた。

 17番では雷雨接近で中断した。その間もおやつを食べて牛乳を飲み、動じなかった。再開すると、4メートルのバーディーパットを沈めた。スタート前は、背中の痛みを感じ「結構呼吸がしにくかった」と万全ではなかったものの、海外ではほとんど実績がない“無名”が、世界ランキング10位以内が全員そろった大会を引っかき回した。

 「私の人生で一番名誉なうれしいこと。重大な任務を果たした感じがする」

 日本ゴルフ界では栄えある「第1号」のメダリストとなり胸を張った。「萌寧」の名には「世界で活躍した時にローマ字で誰でも読めるように」という願いも込められている。十分に名前を売った。

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