猛暑のつらさ吹き飛ぶワンシーン…パラ陸上、スペイン女子選手の義足ソケットに感謝の日本語

2021年08月29日 06:00

陸上

猛暑のつらさ吹き飛ぶワンシーン…パラ陸上、スペイン女子選手の義足ソケットに感謝の日本語
パラ陸上女子走り幅跳び(義足・機能障がいT64)決勝、「ありがとう東京」と書かれた義足ソケットを指さし笑顔のアンドレスバリオ(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【東京パラリンピック第5日・陸上 ( 2021年8月28日    国立競技場 )】 パラリンピックの陸上競技の取材中、ある外国人選手の義足ソケットが目に飛び込んだ。ピンク生地に白字の日本語でこう書かれていた。
 「ありがとう東京」

 これは28日に行われた女子走り幅跳び(義足・機能障がいT64)の試合中の出来事。気になったので2、3枚パシャパシャと撮影したところ、義足カバーの持ち主、スペイン代表のサラ・アンドレスバリオ選手がその音に気付いた。すると、おもむろに義足をこちらに向け、「どんどん撮って」と英語で話しかけてくれた。

 なかなか選手から、シャッターチャンスをくれる機会はない。私と隣にいた日本人カメラマンと一緒に撮影していると、「こっちにも書いてあるのよ」と、左足のソケットに書かれた「東京ヘの夢」という文字も見せてくれた。近くにいた日本人ボランティアによると、彼女はわざわざ自分で文字を調べて、カバーに文字を入れたとのこと。なるほど、どおりでひらがなが傾き、夢の文字の草かんむりがやけに高い位置にある訳だ。

 突如始まった“撮影会”が終わると、選手が控えるベンチに上機嫌で戻っていった。試合後には、同種目に出場した中西、高桑の元へ歩みより、自慢のソケットを披露。成績は10人中10位と振るわなかったが、大会を楽しんでいたようだった。

 まだまだ暑い8月下旬の国立競技場。コロナの影響で、せっかく来た東京の雰囲気も味わえる機会も少ないだろう。そんな中、わざわざ日本語を調べてグッズをつくり、それを使ってパラリンピック東京大会に出場し、敗れたが満面の笑みで見せてくれた。汗をたらしながらの撮影のつらさが吹き飛ぶようなワンシーンだった。(写真映像部・木村 揚輔)

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