「世界新で金」有言実行の山口尚秀 「2つの課題を達成できたこと、とてもうれしく思っています」

2021年08月29日 18:16

競泳

「世界新で金」有言実行の山口尚秀 「2つの課題を達成できたこと、とてもうれしく思っています」
<パラリンピック 競泳男子100メートル平泳ぎ(知的障がい)>表彰式で金メダルを手にする山口(撮影・坂田 高浩) Photo By スポニチ
 【東京パラリンピック第6日 競泳 ( 2021年8月29日    東京アクアティクスセンター )】 男子100メートル平泳ぎ(知的障がい)決勝が29日に行われ、19年世界選手権王者の山口尚秀(20=四国ガス)が1分3秒77で自身の持つ世界記録を更新。パラリンピック初出場で金メダルを獲得した。
 「金メダル獲得することと、自身が保持する世界記録を更新していくこと、2つの課題を達成できたことに、とてもうれしく思っています」と話した山口。銀メダルを獲得したジェーク・ミシェル(オーストラリア)との一騎打ちに「正直、かなりの接戦になるかと思っていた」と続けた。前半から頭一つリードし、最後まで先頭を守っての金メダル。そのミシェルからは「コングラチュレーション」と祝福を受けた。

 この日午前中の予選では1分4秒45のパラリンピックレコード、自身の持つ世界記録1分4秒00に0秒45差に迫る泳ぎで全体1位で決勝進出を決めていた。「平泳ぎは世界記録更新で金メダル」と話していたが、その言葉通り、終始先頭を泳いで逃げ切った。

 コロナ禍の影響で多くの選手が足踏みを余儀なくされ、山口もプールに向かうことが辛い日々もあった。それでも1日7㌔の泳ぎ込みなどで力を伸ばし、昨年11月には約10カ月ぶりの公式記録会で自らが持つ100㍍平泳ぎの世界記録を更新。さらに「もっと高いレベルを目指し、ベストを更新していくためにも筋力を付けないと」と1日4食やプロテイン摂取を心掛けた。3㌔増の92㌔と一回り大きくなった肉体で5月に3度目の世界新。そしてパラ優勝で名実ともに世界一となった。

 「尚秀」は00年シドニー五輪の女子マラソンで金メダルに輝いた高橋尚子と巨人やヤンキースで活躍した松井秀喜にちなんで名付けられた。母・由美さん(52)がほれ込んだのは「高橋さんは穏やかで優しく努力できる人。松井さんも人柄が良くて」と話す〝人間力〟だったが、山口は名前に導かれるようにアスリートとしての能力を育んだ。「世界で活躍したスポーツ選手。自分も東京パラの代表として2人とつながることができれば」と話していた中、見劣りしない勲章を勝ち取った。

 ◇山口 尚秀(やまぐち・なおひで)2000年(平12)10月28日、愛媛県今治市出身の20歳。3歳の時に知的障がいを伴う自閉症を診断され、小学4年で競技を始める。19年世界選手権の100メートル平泳ぎで世界新記録を更新し優勝。21年5月のジャパン大会で1分4秒00で泳ぎ自身の再び世界記録を更新した。

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