【元横綱稀勢の里コラム】22歳であの風格 ヤクルト村上選手は、大相撲に入っていたら横綱だったかな

2022年09月07日 07:00

相撲

【元横綱稀勢の里コラム】22歳であの風格 ヤクルト村上選手は、大相撲に入っていたら横綱だったかな
ヤクルト・村上 Photo By スポニチ
 中学までは野球少年だったので、プロ野球の話題も気にかけています。最近一番の楽しみは、ヤクルト村上宗隆選手ですね。まだプロ5年目、22歳。同じプロスポーツの世界に生きる者として、彼の人物像に注目しています。
 最年少で通算150本塁打に到達しましたし、もしシーズン55本の王貞治さんに並べば、王さんより2歳若くして達成します。立ち居振る舞い、ボールの見逃し方、守備につく姿勢。全てに風格があります。生まれ持った資質、自分の素晴らしさを生かしきれている。いつでも打ってくれそうだと期待を抱かせる風貌。いずれはメジャーにも行くとは思いますが、いつか生で見てみたいと思っています。

 個人的に肉体的な面に興味があるので、どういうトレーニングをしているか、食事はどういうものを取っているのか興味津々です。もし大相撲に入っていたら大関、横綱になっていただろうか。それも凄く気になっているところです(笑い)。

 力士と力士。投手と打者。1対1の勝負ということでも野球と相撲には共通点があります。相撲も勝負に向かうまでの準備が大切で、私も現役時代はよく対戦相手を土俵下の控えにいるときから観察していました。いつもと違う動作はないか、変わった様子はないか、それを発見するセンサーを働かせていました。土俵でごみを拾えない力士は強くなれない、といわれていますが、いろんなことに気付かないと勝負に影響が出てくる。村上選手はそういうものを兼ね備えていますね、22歳にして。天才に近いとも思いますし生まれ持った体、非凡なセンス、それを最大限に生かしています。

 立ち合い前から勝負は始まっているわけで、立ってからでは遅い部分もある。投手も村上選手に対峙(たいじ)したときに、既に「勝負あった」みたいな感じに陥っているようです。何か投げる前に「気」で負けているようで、打者が狙っているところにボールが吸い込まれていくような印象さえ受けます。相手にそうさせてしまう村上選手の「威圧感」みたいなものも参考にしたいものです。

 高校時代は抜けて評価が高かったわけではなかったと思うので、最初から我慢して使い続けてものにする球団の育成も立派だと思います。弟も九州学院の主軸で甲子園に出場しました。スケールの大きさはお兄さん譲りなので、こうなると興味は兄弟で3、4番。ぜひとも見てみたいものです。 (元横綱・稀勢の里)

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