33歳キンクミ 11年189日ぶり最長ブランクV 「いろんな思いが…」涙止まらず

2022年10月31日 04:25

ゴルフ

33歳キンクミ 11年189日ぶり最長ブランクV 「いろんな思いが…」涙止まらず
優勝し笑顔を見せる金田久美子(撮影・西尾 大助) Photo By スポニチ
 【女子ゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディース最終日 ( 2022年10月30日    埼玉県 武蔵丘GC=6650ヤード、パー72 )】 単独首位から出た金田久美子(33=スタンレー電気)が4バーディー、4ボギーの72で回り、通算9アンダーでツアー通算2勝目を逃げ切り優勝で決めた。初優勝した11年4月フジサンケイ・レディース以来、11年189日ぶりの2勝目はツアー制施行の88年以後で最長ブランクVとなった。渋野日向子(23=サントリー)は4つスコアを伸ばして9位に入り、次週のスポニチ主催TOTOジャパンクラシック(11月3日開幕、滋賀・瀬田GC北C)へ弾みをつけた。
 池越えとなった残り160ヤードの2打目を1メートルにつけた。17番で飛び出たスーパーショット。金田は「ここで決めたら勝てる」と確信していた。優勝を決めた最終18番のグリーン上では笑顔は一瞬。人目をはばからず号泣した。「いろんな思いがあって…、結構きつくて…」。脳裏には、長かった11年間の苦悩がよみがえっていた。

 かつて12歳で国内ツアーを予選突破し、天才少女と呼ばれた。11年4月に21歳でツアー初V。2勝目はおろか賞金女王も近い、バラ色の未来を思い描いていた。だが、5~6年前にスイングと精神面のバランスを崩し、1Wの飛距離は140ヤードに落ち、50センチのパターも入らなくなった。「ゴルフ場を見るだけで涙やじんましんが出た」と振り返った。

 派手な見た目とは裏腹に、暗くなるまでクラブを手放さない練習の虫。だがSNSで私服や食事の写真を載せるたび「練習しろ」と心ないコメントが書き込まれた。「ずっと見返してやると思ってました」。2年前からは腰痛を抱え、昨夏には左足首を捻挫。その時、患部に負荷が少ないハーフショットに活路を見いだした。17番の2打目も7~8割のショット。まさに練習のたまものだった。

 “ギャルファー”と呼ばれた時代は、樋口久子さんから「化粧が濃い」と叱られた。その樋口さんの名を冠する大会で優勝し、感涙する樋口さんを見て、また泣いた。来季シード権も手にした33歳金田は「次は3勝目、ファッションも楽しみながらゴルフしたい」と未来を見据えた。1番でバーディー発進。中盤で苦しみながら、終盤の17番バーディーで引き寄せた復活Vは、まさに金田のゴルフ人生そのものだった。

 ≪自宅観戦の父へ 本当はハグを…≫金田が幼少期からゴルフの手ほどきを受けた父・弘吉さん(79)は名古屋市内の自宅で戦況を見守ったという。金田は「お父さんが元気なうちに2勝目を見せたかったので、それがかなって良かった。来てほしかったですけど来たら(私が)緊張すると思ったのか、自粛してくれた。本当はハグしたかった」と笑った。LINEでの連絡は毎日欠かさず、前日も「びっくりした。首位だな、がんばれ」とメッセージが届いたという。

 《ツアー制施行前最長は11年210日》日本人選手のブランク優勝最長記録は池渕富子で85年富士通レディース→97年ヤクルト・レディースの11年210日。88年のツアー制度施行後では中嶋千尋で88年ダンロップ・レディース→98年健勝苑レディース道後の9年297日。金田は11年4月24日の初優勝から11年189日ぶりの2勝目となり、ツアー制度施行後では最長ブランクとなった。

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