“笑わない男”稲垣は変わらない男、衰えない男 18日花園戦でリーグ100キャップ

2023年02月17日 05:03

ラグビー

“笑わない男”稲垣は変わらない男、衰えない男 18日花園戦でリーグ100キャップ
埼玉での100キャップ目となる一戦に臨む稲垣(撮影・村上 大輔) Photo By スポニチ
 ラグビーリーグワン1部で首位の埼玉(旧パナソニック)は16日、第8節・花園(旧近鉄)戦(18日、熊谷)の登録メンバー23人を発表した。日本代表プロップで、“笑わない男”こと稲垣啓太(32)は先発に名を連ね、出場すればトップリーグ時代から通算100キャップを迎える。このほどスポニチのインタビューに応じ、デビュー当時から変わらないマインドを語った。
 百戦錬磨の男は、10年目で迎える節目の一試合を前にしても変わらない。100キャップ目の相手が、ファーストキャップ(13年8月)と同じ花園(当時は近鉄)という巡り合わせにも、淡々としている。稲垣は「100試合目という節目だけど、自分のやるべきことは変わらない。一つの目安として、“100試合か”という感想」と、表情を崩さない。

 デビュー当時から「緊張しない」という強心臓だった。「失敗したらどうしよう」というマイナス思考は皆無。「準備が大事で試合は出すだけというマインドセットがずっと変わってないからだと思う。ブレずにやれてる」と言い切る。変わらないマインドを支えているのは、プロとしての誇りだ。ラグビー界には社員選手もいる中で、入団2年目からプロ選手としてプレー。「結果が全て。その根底にあるのは(勝利という)結果を残さないと誰も評価してくれないから。結果を残し続けないと、プロ選手は未来がない」。1年目からベストフィフティーンには8年連続(リーグ不成立の19年度を除く)で選ばれ、チームの5度の優勝に貢献。常勝軍団の1番として君臨し続けている。

 強じんなメンタルはデビュー当時から不変な一方で、変わったのは「体の使い方」。「がむしゃらにプレーして無駄な動きが多かった」若い時を経て、30代となった今は、筋力や出力の変化に対応するため「可動域と関節」を意識したトレーニングを選択しているという。その結果、消耗の激しいプロップで出場を重ねても「体の衰えを感じない」。試合中は首を振って常にキョロキョロと周囲を観察。予測をしながら動くことでより的確なタックルを浴びせ、観客を沸かす。「ボールを持ってない時の動きが洗練されている」と進化が続く。

 現在、チームは開幕から7連勝中で首位を走る。連覇に向け、花園戦がレギュラーシーズンの折り返しだ。「自分のやるべきことができたら、いろんな人からお祝いの言葉を言っていただけるんじゃないかな」。“笑わない男”はルーキー時代から変わらず、また一つ積み上げる。

 ≪9月W杯へリーグでも「世界」意識≫日本代表でも大黒柱として期待される稲垣は9月8日開幕のW杯フランス大会へ「世界で戦うためのスキル、世界で戦うためのマインドセットをシーズン中に持ち続けないといけない」と気持ちを高めている。試合のなかった先週は、都内で実施された1泊2日の代表活動に参加し、全コーチとミーティングをしたという。自身3度目のW杯へ「代表でもここ(埼玉)でも役割は変わらない。セットピースでプレッシャーをかける」とリーグで鍛錬を続ける。

 ◆稲垣 啓太(いながき・けいた)1990年(平2)6月2日生まれ、新潟市出身の32歳。新津二中3年からラグビーを始め、新潟工時代に高校日本代表に選出される。関東学院大では4年時に主将。13年にパナソニック(現埼玉)入りし、トップリーグ新人賞受賞。14年11月のルーマニア戦で日本代表初キャップを獲得し、代表通算45キャップ。15、19年W杯メンバー。中学までは大型捕手でならし、野球でも強豪校から誘いを受けた。1メートル86、116キロ。

 ▼トップリーグ&リーグワンの通算試合出場数 歴代最多は2部の日野で現役のプロップ久富雄一の177キャップ。2位は173キャップの山村亮、3位は170キャップの大野均でいずれも既に引退している。通算100キャップに到達した選手は昨季までで95人いる。また、トップリーグ時代はプレーオフ(PO)と日本選手権を兼ねていたシーズンもあったため、通算キャップにPOを除外しているが、リーグワンはPOや入れ替え戦を含む。

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