羽生結弦さん タイトルに込めた“あの日”の記憶 アイスショー「notte stellata」

2023年03月09日 04:45

フィギュアスケート

羽生結弦さん タイトルに込めた“あの日”の記憶  アイスショー「notte stellata」
リハーサル中に穏やかな表情を見せる羽生結弦さん(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【羽生結弦 3.11を忘れない(1)】フィギュアスケート男子で五輪2連覇し、プロとして活動する羽生結弦さん(28)が10~12日に地元・宮城県のセキスイハイムスーパーアリーナでアイスショー「羽生結弦 notte stellata(ノッテ・ステラータ)」を開催する。自身も仙台市内で被災した東日本大震災から12年。イタリア語で満天の星を意味するタイトルに込めた思いとは――。改めて羽生さんが歩んだ震災からの道のりを連載する。
 2011年3月11日のことは、今も忘れない。羽生さんは東北高1年の試験休み中だった。「先輩と練習していて、一般のお客さんもいたんですよね」。今も拠点とするアイスリンク仙台は、活気に満ちていた。

 だが、午後2時46分、最初の揺れが起こる。自身の心配より一般のスケーターが気がかりだった。すぐに誘導役として「大丈夫ですよ、こちらにお逃げください」と声を張り上げた。だが、揺れは次第に大きくなる。「最終的に照明が切れた。リンクの上に大きな照明が何個もついているので、それが落ちないリンク中央に行った」。先輩スケーターにかけられた「大丈夫だから」という言葉が、恐怖を少しだけ和らげてくれた。

 いつ余震が来るか分からない。「とにかく外に出ないと」。四つんばいでリンクを下りた。「靴を脱いでいる暇もなかった。とにかく靴だけは、エッジだけは持って外に出た」。故郷のリンクは、そのまま営業休止となった。

 津波の被害はなかったが、羽生さんの自宅は全壊。避難所生活を余儀なくされた。学校の体育館に約450人が避難し、羽生さんも家族4人、2畳足らずのスペースで身を寄せ合った。停電で余震が続く夜、羽生さんは星を見た。漆黒の空だからこそ輝きを増した満天の星。決して希望は捨てない。羽生さんの思いは強くなった。

 ≪ゲスト内村さんと会場で初顔合わせ≫「notte stellata」の開幕を控え、羽生さんは8日、本番会場で同公演にスペシャルゲストとして出演する体操男子五輪連覇の内村航平さん(34)とともに、共演プログラムのリハーサルを入念に行った。これまで対談や打ち合わせで会ったことはある“冬の王”と“夏の王”だが、会場では初顔合わせ。2人は時折、笑みも交えながら、約1時間半にわたって調整した。

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