あれから12年 「羽生結弦」の歩みが復興の力になると信じて

2023年03月12日 04:45

フィギュアスケート

あれから12年 「羽生結弦」の歩みが復興の力になると信じて
<羽生結弦さん「notte stellata」>公演2日目となった3月11日に演技をする羽生結弦さん(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【羽生結弦 3.11を忘れない(4)】フィギュアスケート男子で五輪2連覇し、プロとして活動する羽生結弦さん(28)が11日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開催中の「羽生結弦 notte stellata」2日目公演を行った。東日本大震災からちょうど12年の午後2時46分は氷上で黙とうし涙した。
 フィナーレでは「なぜここの氷にたくさん手をついていたか、そして手をついて上に気持ちを上げていたか、宮城県民として説明させてください」と切り出し、震災時に遺体安置所だった特別な場所で演技をすることへの戸惑いを吐露。それでも「僕が生きて、今日という日を皆さんの前でこの会場で迎えることができたのは少しでも意味のあることだったのかなと自分を肯定できます」と必死に前を向いた。そして「今日ある命は明日もあるとは限りません。今日の今の幸せは明日もあるとは限りません。そうやって地震は起きました。だから、みんな真剣に、今ある命を、今の時間を、幸せに生きてください」と語りかけた。

 五輪2連覇の偉業を成し遂げても、自らの歩む道が復興の力になると信じていた。震災からちょうど10年の節目の21年3月11日には「(震災を)忘れないでほしいという声も、忘れたいと思う人も、いろんな人がいると思います。僕は、忘れたくないですけれど、前を向いて歩いて、走ってきた」とし「あの日がなかったら、とは思わないようになりました。それだけ、今までいろんなことを経験して、積み上げてこられた」とコメントした。

 重圧に押しつぶされそうになっても、何とか踏ん張れたのも自らへの期待があったから。夢の大技4回転半成功を目指した22年北京五輪までの4年間は自身と深く向き合う日々。度重なる負傷だけではなく、突然涙が流れた時も、食事が喉を通らなかった時もあった。「僕だけのジャンプじゃない。皆さんが僕にしかできないって言ってくださるのであれば、全うするのが僕の使命」。信念を貫き、3度目の五輪舞台にも挑んだ。

 悩み、苦しみ、それでも前に進む。羽生さんの真っすぐな生きざまに、被災地の人々やファンは自分の人生を重ねる。「僕がこれまで努力してきたことが応援してくださる方々に評価していただいたり、見てもらえたり、そこで何かを感じていただけたり。そんなことが僕は本当に幸せ」。プロスケーターとなっても、その思いは変わらない。 =終わり=

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