病気療養の重永亜斗夢1年ぶりツアー復帰 4日間完走「プロゴルファーをやっていて良かったと思える瞬間」

2023年04月03日 15:42

ゴルフ

病気療養の重永亜斗夢1年ぶりツアー復帰 4日間完走「プロゴルファーをやっていて良かったと思える瞬間」
重永亜斗夢 Photo By スポニチ
 【福永稔彦のアンプレアブル】男子ゴルフの開幕戦東建ホームメイト・カップで重永亜斗夢(34=ホームテック)が1年ぶりにツアー復帰を果たした。
 最終日、最終9番でバーディーパットを沈めると自然と頬が緩んだ。カットラインぎりぎりの60位で予選を通過し、通算5アンダーの53位で4日間の戦いを終えた重永は「4日間やったのは一昨年のカシオ(ワールド・オープン)以来だから1年半ぶり。成績よりも4日間完走してどんなペースで回れるか、どう体の調子が変わるか、開幕戦で試せたのが大きいですね」と充実感を漂わせた。

 コースではギャラリーの歓声を浴び、ファンや選手から「お帰り」と声を掛けられた。「この雰囲気は最高。歓声があると力になるし、プロゴルファーをやっていて良かったと思える瞬間だった」と感慨深げに語った。

 持病の悪化で1年間休養した。昨年の東建ホームメイト・カップを首痛で途中棄権。国内2戦目となる4月中旬の関西オープンの練習日に突然、激しい下痢に見舞われ、欠場を余儀なくされた。下痢や倦怠感が続き、体重が3キロ落ちた。そのままツアーを離脱した。

 「潰瘍(かいよう)性大腸炎と言われているけど、症状がひどいのは過敏性腸症候群の方なんです」。過敏性腸症候群とは、精神的なストレスや自律神経バランスの乱れなどによって腸の働きに異常が生じ、便秘や下痢など排便の異常を引き起こす病気のこと。

 重永は学生時代から下痢に悩まされた。プロ転向後は発熱や倦怠感を伴うようになり、1年に1、2回の割合で症状が出た。熱、倦怠感は1日で収まるが、下痢は1週間から10日間ほど続く。

 これまでは疲れが蓄積する後半戦に発症していたが、昨年は開幕間もない時期で、シーズン中に再発する心配もあったため「思い切り休むことも大切かな」と特別保障制度の適用を受け、療養に専念することを決断した。

 幹細胞治療を受け、メンタルトレーニングも行った。そうした治療の効果もあったかもしれないが、ツアーを離れ、ストレスから解放されたことが良い薬になったようで離脱後は症状が出ていない。

 「面白いことに、試合を休んでから1回も(症状が)出ていないんです。やっぱりメンタルと疲れが原因だったと分かりました」。

 離脱後2カ月はほとんどクラブを握らなかった。6月にはゴルフ中継の解説にも挑戦した。夏には知人らとハワイでプライベートのゴルフを楽しんだ。穏やかな生活が体調の改善につながった。

 「休んだことで、ゴルフだけじゃないと、人生観が変わった。それまではゴルフ、ゴルフというふうになっていた。それがメンタルの負担になっていた。本当にゴルフを楽しめていなかった」。

 今季からのツアー復帰を決意してからは練習量も増やしたが、以前と考え方は変わった。今季の目標はシード獲得に置いているはいるものの焦りはない。

 「まずは楽しむこと。病気に対する適応ということもあるので、うまくやっていきながらシードも獲れたらいい。もちろん、やる時には一生懸命やるけど(自分を)苦しめないようにはしていきたい」。重永は屈託のない笑顔でそう言った。(スポーツ部専門委員)

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