足幅を広げた【スモウデッドリフト】の効果とやり方&コツ│通常のデッドリフトとの違いは?
2023年06月02日 12:00
「内ももを細くする「スモウ・スクワット」の効果とやり方」で通常のスクワットより両足の幅を広げ、膝とつま先を外側に向けて行う「スモウ・スクワット」について紹介しました。今回は、スモウスタンスでデッドリフトを行う「スモウ・デッドリフト」を取り上げます。
デッドリフトは数ある筋トレ種目の中で、もっとも重い重量を扱います。そして、普段あまり意識することがないお尻や太ももの裏側にある筋肉の柔軟性も求められる、難易度の高い動作です。そのため、たとえばスクワットと比較すると、デッドリフトを苦手としている人は少なくありません。
スモウ・デッドリフトは通常のデッドリフトより柔軟性へのハードルが低く、かつ重い重量を扱いやすいでしょう。そのため、パワーリフティングの競技者もよくこちらの方法を選びます。動作の難易度もやや低いので、実は筋トレ初心者にもおすすめです。
スモウ・デッドリフトと通常のデッドリフトとの違い
スモウ・デッドリフトのほうが重い重量を上げることができる
スモウ・デッドリフトではスタンスを肩幅より広くと取り、両腕を膝の内側に下ろしてバーベルの中央を握ります。
スモウ・デッドリフトではスタンスを肩幅より広くとり、両腕を膝の内側に下ろしてバーベルの中央を握ります。
するとほんのわずかですが、バーベルが上下する距離が通常のデッドリフトより短くなるでしょう。上の写真では、スモウ・デッドリフトの方がバーベルの位置が低いことがわかります。
仕事=力×距離(W=F・s)という物理の法則を適用すると、同じ重量を持ち上げるとしたら、スモウ・デッドリフトの方が仕事量は少なくなります。そのためか、スモウ・デッドリフトの方が、通常のデッドリフトより重い重量を上げることができます。
スモウ・デッドリフトは腰や背中に不安がある人向け
セットアップ時の上半身の角度に注目しましょう。横から見るとよく分かりますが、スモウ・デッドリフトは通常のデッドリフトより上半身を前傾させる角度が浅くなり、ほぼ直立したような姿勢になるため、スモウ・デッドリフトは腰や背中へかかる負荷がやや小さくなるでしょう。
その周辺に故障歴がある人や、柔軟性に難がある人にもおすすめです。
鍛えられる筋肉は両方ほぼ同じ
通常のデッドリフトとスモウ・デッドリフト、どちらも鍛えることができる筋肉群に大きな違いはありません。お尻や太腿の裏側(ハムストリングス)を中心に、下半身全体と背中までの幅広い筋肉群を鍛えることができます。ほぼ全身運動と呼んでいいでしょう。
あえて特徴を挙げるとすれば、スモウ・デッドリフトは内転筋(太ももの内側)への効果がやや高くなり、ハムストリングスへの効果はやや低くなります。
スモウ・デッドリフトの正しいフォーム
セットアップ
- 両足の幅を広くと取り、膝とつま先を同じ角度で外側に向ける
- 両腕は膝の内側にまっすぐ下ろし、バーバルの中央を握る
- 肩はバーベルの真上かやや前方
- 背筋の自然なカーブを保つ
アップ動作からフィニッシュまで
- 両腕は伸ばしたまま、肘を曲げない
- 腰と肩を同じスピードで上に移動させる
- バーバルはすねを擦るようにまっすぐ上げる
- かかとに力を入れ、地面を踏む
- 膝と腰を完全に伸ばして、まっすぐに立つ
ダウン動作
- 背筋の自然なカーブを保ったまま、ゆっくりとバーベルをコントロールして下ろす
- 視線はまっすぐ前に固定する
目的別のスモウ・デッドリフト活用法
目的1:デッドリフトのフォーム習得
筋トレ初心者が通常のデッドリフトを行おうとすると、腰と肩が別々に動いてしまい、腕任せにバーベルを引っ張るような動作になりがちです。
その点、スモウ・デッドリフトは動作の難易度がやや低いので、初心者がデッドリフトで使う身体の動かし方に慣れるための良い練習方法になります。
この場合は、ごく軽い重量でセット数も少なくして、フォーム習得に集中しましょう。
目的2:最大筋力の向上
前述した通り、スモウ・デッドリフトは通常のデッドリフトより重い重量を扱いやすくなるため、最大筋力を向上させたいリフターには向いています。この場合は「高重量・少回数」が原則です。
3~5回を1セットとして、3~5セットぐらいが適当でしょう。セット間の休憩は十分にとって、毎セット全力を出せるようにしてください。
目的3:筋肥大
筋肉を大きくしたい場合は、最大挙上重量の67%~85%の重量で、6~12回×3~5セットくらいが効果的だと言われています。
スモウ・デッドリフトでもこの目安は使えますが、他の筋トレ種目より重い重量を扱うので、手首や肘などの関節に負担がかかりすぎないよう注意が必要です。
バーベル以外で行うスモウ・デッドリフト
スモウ・デッドリフトは、ダンベルやケトルベルを使って行うこともできます。この場合、デッドリフトのメリットのひとつである「高重量による効果」は少なくなるでしょう。しかしその分、フォーム習得には向いていますし、高回数セットを行うことによる筋持久力の向上を図ることもできます。
[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani
<Text & Photo:角谷剛>
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