【第100回ラグビー早慶戦記念企画】慶大OB玉塚元一氏インタビュー(2)長田君の活躍はうれしい
2023年11月21日 10:01
ラグビー
「平尾君がいて、日本協会会長をやっている土田がいて、大八木さんもいて、同志社は凄く強かった。最後は松永(4年、CTB)から村井(4年、FB)へのパスがスローフォワードで幻のトライになって負けたけど、凄く記憶に残っています。その後、平尾君とも凄く仲良くなって、彼も“負けると思っていた”と言ってました。“慶応には、凄く気迫と勢いがあった”と言ってました。ただ、後になって考えると、勝って全国制覇して意気揚々と社会人になるのと、負けた悔しさをかみ締めて社会人になるのとでは、後者の方が良かったかも知れないと、人間鍛錬的には思っています」
――現在はリーグワン理事長として日本ラグビー界をけん引する立場でもあります。その立場から、早慶戦に望むことなどはありますか。
「慶応出身でリーグワンで活躍している選手には丹治(埼玉)、辻、山本(東京SG)、川村(横浜)、原田(BL東京)がいるし、山田(2部・九州)も頑張っています。早稲田からは何と言っても長田君(埼玉。W杯フランス大会日本代表)。早慶戦を戦い、卒業して2年目なのにチームで1本目(レギュラー)になって、日本代表になった。彼のような選手が活躍してくれるのは、慶応OBとしてもうれしい。リーグワンはW杯決勝(南アフリカ―ニュージーランド)を戦った選手がたくさん来るけど、日本の義務教育を受けた選手がリーグの中で育って、代表レベルで活躍することも凄く大事になる。その中に早慶で活躍した選手が入っていくような仕組みをつくらないといけないと思っています。だから長田君みたいな例は、理事長としても凄くうれしいですね」
――玉塚さんご自身がラグビーから学んだこと何でしょうか。
「まずは努力すれば巨象をも倒せるということ。才能がなくても、大した素材じゃなくても、ビジョンを明確にして努力して、巨象を倒す実体験ができたことが一つ。それからラグビーは教育的要素が強いスポーツで、大英帝国時代に始まり、植民地に勇敢で規律を守るリーダーを育てるためのツールとして実施された。ラグビーの自己犠牲の精神、規律、フォア・ザ・チームの考え方は、もの凄く重要です。ラグビーをやっていたことで、自己犠牲の精神、花となるより根となろうとか、フォア・ザ・チームとか、基礎的な考え方を身に付けられた。ラグビーをたまたまやれたのは凄く良かったし、今は社長をやっていますが、ラグビーをやっていなかったら、絶対になっていなかった。だからラグビーには感謝。これほど素晴らしいスポーツはないと思っています。経営者としてもチームプレーの精神、自己犠牲の精神を学び、組織をリードする力を養った。リーダーシップを培うには、こんなにいいスポーツはないですよ。実際にラグビー出身者には社長や経営者が多い。僕の同期にもたくさんいますから」
――最後に100回目を迎える早慶戦への期待と、次の100回へのメッセージをお願いします。
「まずは100回も続いたことに対して、先人や先輩に感謝したいですね。そして未来の次なる100回につながることを祈りたい。早慶戦を戦った仲間たちが、社会で活躍することを大いに期待しています」
◇玉塚 元一(たまつか・げんいち)1962年(昭37)5月23日生まれ、東京都出身の61歳。慶応高、慶大でラグビー部に所属し、フランカーとして活躍。85年3月に卒業し、旭硝子、日本IBMを経て、02年に39歳の若さでファーストリテイリング社長に就任。退任後も経営者の道を歩み、21年6月からロッテホールディングス社長。同年10月からはリーグワン理事長も務める。
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