アメフト阪大 「虎フィーバー」の年に再び1部昇格を決めた 来年は「京阪神」の国立大対決も

2023年12月17日 07:00

アメフト

アメフト阪大 「虎フィーバー」の年に再び1部昇格を決めた 来年は「京阪神」の国立大対決も
1部昇格を喜ぶ阪大の選手ら(撮影・亀井 直樹) Photo By スポニチ
 関西学生アメリカンフットボールの1部2部入れ替え戦が16日、京都市のたけびしスタジアムであり、阪大(2部2位)が甲南大(1部7位)を3―0で下し、1986年シーズン以来、38年ぶりの昇格を決めた。前回、入れ替え戦で勝ったのは、プロ野球阪神が初めての日本一に輝いた85年。再びの「虎フィーバー」の年に、国立大の名門が輝きを放った。桃山学院大(2部1位)も3年ぶりの昇格を果たした。
 「アレ」のドラマは、冬も続いていた。雨の上がった京都の空に、阪大の雄叫びが響く。38年ぶりの1部昇格。阪神日本一で虎フィーバーが再現された年、国立大の雄も、そのとき以来の悲願をなし遂げた。

 「恥ずかしいくらい泣いてしまいました。選手たちにおめでとう、と言いたい」

 就任1年目の歓喜に、西尾慎太郎監督の瞳は輝きを放っていた。オフェンスが進まず、我慢を強いられた入れ替え戦。唯一訪れた得点機が第4Q8分51秒のFGだった。距離は42ヤード。狙うK沢田悠太(3年)は高校時代を南アフリカで過ごし、入部体験で披露したキックを見込まれ、入部していた。「蹴った瞬間、決まった、と」。獲得ヤードは阪大の105に対し、甲南大は207。「ゴール前で粘れる強みが出せました」。らしさ全開の勝利に、29歳の若き指揮官は胸を張った。

 全国屈指の難関国立大。経験者やアスリートの人材不足を「対話」で補ってきた。西尾監督と名倉宙主将(4年)は週に1度、1対1でミーティング。課題をあぶり出し、その都度、問題点を解決した。「最初は選手間で熱量の違いもありましたけど、だんだん一枚岩になれた」。振り返る指揮官は、都内で企業コンサルティングの会社に勤務。会話から組織力を向上させるのはお手のものだ。

 同じ国立大で、1部に定着する京大、神戸大への対抗心は強い。「上で対戦できるのがホントに楽しみですね」と沢田は声を弾ませる。「京阪神」の1部そろい踏みも38年ぶり。3校Vで盛り上がった関西に、来季新たな風が吹く。(堀田 和昭)

 《医学部在籍DB松田が貢献》1年生DB松田貢輝も完封勝利に貢献した。「2年生で1部を経験できるのは本当にうれしい」。難関校の阪大で最も難しい偏差値66を誇る医学部医学科に在籍。アメフト部では19年ぶりとなる秀才は、東京都市大付でもプレーしていた経験者だ。大学では学業との両立を考えて、負担の大きいQBから転向。「同学年の(立命大RB)蓑部とかと対戦するのが楽しみ」と早くも心は来季へ飛んでいた。

 ▽大阪大学アメフト部トライデンツ
 1967年(昭42)創部。最初の愛称はハーキュリーズだった。72~76年、86年に1部でプレーし、それ以外は2部、もしくは3部と低迷期が続く。2008年に大阪外大との統合にともない、トライデンツ(3つの刃)として再出発。ニックネームは「吹田」「豊中」「箕面」と3つのキャンパスを有することに由来する。

 ▽1985年の世相
 昭和60年。1月15日、ラグビー日本選手権で新日鉄釜石が7連覇。第55代横綱・北の湖が引退表明。4月1日、電電公社がNTT、日本専売公社がJTに民営化。6月24日、歌手・松田聖子と俳優・神田正輝が結婚。8月21日、全国高校野球選手権で桑田真澄、清原和博を擁するPL学園が2年ぶり3度目の優勝。11月2日、プロ野球・阪神が日本シリーズで西武を破り初の日本一。12月15日、将棋の羽生善治が史上3人目の中学生プロ棋士に。新語・流行語大賞の大衆賞は「私はコレで会社をやめました」「投げたらアカン」。

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