戦後初の「身長150センチ台力士」誕生へ!体格基準撤廃後初の新弟子二次検査に元村康誠が合格

2024年04月19日 14:45

相撲

戦後初の「身長150センチ台力士」誕生へ!体格基準撤廃後初の新弟子二次検査に元村康誠が合格
新弟子二次検査に合格した元村康誠(撮影・前川 晋作) Photo By スポニチ
 大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の新弟子二次検査が19日、東京・両国国技館のアリーナで行われた。
 身長1メートル67、体重67キロの体格基準に満たない者が運動能力テストを受ける「第二検査」が12年ぶりに復活した。受検したのは元村康誠(15=佐渡ケ嶽部屋)ただ一人。背筋力、握力、反復横跳び、ハンドボール投げ、上体起こし、立ち幅跳び、50メートル走の7種目を約20分かけて実施し、合格点を満たした。

 運動能力テスト実施の前に身体測定も行われ、元村は1メートル59・5センチ、67・6キロだった。内臓検査に問題がなければ夏場所初日に正式に合格が発表され、日本相撲協会によると戦後初となる身長150センチ台の力士誕生となる。

 元村は佐賀・北方相撲クラブ出身。小学4年時には「琴奨菊チーム」として白鵬杯に出場し、当時体重が自身の2倍以上あった冨山大翔(現・鳥取城北高1年)を大熱戦の末に破った。その動画がネット上で拡散され、テレビでも取り上げられるなど大きな話題に。その頃から当時現役だった秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)の誘いを受け「大相撲に行くのが夢だったので挑戦しようかなと思った」と力士を志した。

 牛乳を毎日1リットル飲むなど努力した成果もあり中学3年間で身長が20センチ伸びたものの、当時の体格基準である1メートル67には届かず。「体重も全然増えなくて大変だった」となかなか体は大きくならず高校進学も視野に入れたが、昨年9月の体格基準撤廃をきっかけに秀ノ山親方から再度誘いを受けて中学卒業後の入門を決意した。

 小兵ながらアマチュア相撲で活躍してきた元村は、この日も身体能力の高さを発揮。握力は右が55キロで左が50キロ、反復横跳び(20秒)49回、ハンドボール投げ25メートル50センチなど好記録を出した。本人は「少し体力落ちているなと思った」と苦笑い。それでも見事に合格点を満たし「ホッとしています」と胸をなで下ろした。

 小4の白鵬杯で注目を集めたことをきっかけに、小さな体で大きな相手にどう動いて勝つかを意識するようになったという。参考にしている現役力士は元幕内の炎鵬(29=伊勢ケ浜部屋)。これから始まる力士人生へ「とにかく体重を増やして、体を作って勝ちたい」と大きな希望を抱いた。

 元村をスカウトした秀ノ山親方は「これからもっと体を大きくして壊れない体作りを」と今後の育成プランを明示。「体が小さくても相撲が好きなのでなんとか入門させたかった。力士を目指したい子もいるので、入門できるのはありがたい」と新弟子検査の制度変更に感謝した。

 「第二検査」は2001年から2012年春場所まで行われており、1メートル73、75キロ以上の体格基準に満たない者は1メートル67、67キロ以上であれば受検可能だった。12年春場所から基準が緩和。1メートル67、67キロ以上(春場所の中学卒業見込み者は1メートル65、65キロ以上)でクリアとなり、第二検査は廃止された。そして昨年9月、入門の門戸を広げるために基準はさらに緩和。身長1メートル67、体重67キロに満たなくても運動能力テストの結果によって合格することができるようになり、体格基準は事実上の撤廃となった。


 ◇元村 康誠(もとむら・こうせい)2008年(平20)8月14日生まれ、佐賀県武雄市出身の15歳。地元の北方相撲クラブで小2から相撲を始める。小4で白鵬杯敢闘賞。武雄市立北方中3年時に全中団体戦8強(中堅で出場)。今年2月、白鵬杯中学生の部で3回戦進出。1メートル59・5、67・6キロ。

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